宿泊税導入を答申 27年度からの実施目指す 奄美市財源創設検討委
2025年03月22日
政治・行政

宿泊税導入を答申 27年度からの実施目指す 奄美市財源創設検討委
世界自然遺産の価値を高めていくために必要な財源確保について、奄美市の「世界自然遺産に関する新たな財源創設検討委員会」(委員長・松田忠大鹿児島大教授、委員9人)は21日、宿泊施設に泊まる人から1泊当たり200円を徴収する宿泊税を導入するよう安田壮平市長へ答申した。市は答申を踏まえて今後条例案を作成し、早ければ2027年度からの実施を目指す。
同検討委は自然環境の保全や世界自然遺産登録で増加が見込まれる観光客らへの対応で必要な財源の確保を検討するため、23年8月に設置。今年1月までに会合を6回開き、宿泊税導入を優先的に議論を進めることや徴収金額の設定、新たな財源を徴収する宿泊事業者の負担軽減などを確認していた。
同日、奄美市役所で開いた第7回会合で報告書案について最終協議を行い、財源の使途として▽世界自然遺産の価値の向上・再生・共有・発信▽来訪者、市民、観光事業者の満足度向上▽持続可能な観光振興・観光地域づくり│など5項目を設定。新たな財源を活用した事業の効果検証や特別徴収義務者である宿泊事業所の負担軽減も盛り込んだ。
同委員会事務局の市世界自然遺産課は、1泊当たり200円の宿泊税を徴収した場合の税収を約7500万円と試算している。
会合終了後、市長応接室で松田委員長から安田市長へ報告書を手渡した。松田委員長は「世界自然遺産の価値を高め、奄美市に生活する人々の暮らしや文化を次世代へ引き継ぐための環境整備に活用してほしい」と要望した。
安田市長は「(宿泊税を導入している)先進事例の研究や関係事業者との意見交換を行い、詳細な制度設計に丁寧に取り組んでいきたい。市民や来訪者に納得いただけるよう、自然を守り、価値を高める取り組みに活用したい」と応じた。
市は今後、宿泊事業者への宿泊税導入に関する意見交換して制度設計し、総務省との事前協議を経て作成した条例案のパブリックコメント(意見公募)を行う。市議会の承認や同省の同意を得た後に宿泊税に関する一定の周知期間を設け、27年度からの実施を目指している。