漂流者引き上げなど訓練 ホエールウオッチングシーズン前に 救助体制強化で初の取り組み 奄美海保と関係機関

2022年12月14日

政治・行政

救助者に見立てたダミー人形を、タオルケットを使って引き上げる参加者=13日、奄美市名瀬

1月から3月にかけて本格化するホエールウオッチングのシーズンを前に、奄美海上保安部などは13日、奄美市の名瀬港観光船バースで漂流者の救助訓練を行った。同海保や警察などのほか、ウオッチングの自主ルール制定、運用などの事業を行う奄美クジラ・イルカ協会(興克樹会長)も含め、関係機関から約40人が参加した初の取り組み。海上を漂流する救助者を毛布などを使って引き上げ、救急搬送するまでの一連の流れについて確認した。

 

合同訓練は、奄美クジラ・イルカ協会が奄美海保に訓練を依頼し実現。今年4月に北海道で発生した知床観光船の事故を受け、救助体制の強化を図ることも目的とした。当日は奄美海保、奄美署、大島地区消防組合名瀬消防署、同協会の関係者が参加した。

 

訓練では海上に投げ出されて漂流する救助者を、観光船や警察用船舶から毛布やタオルケットで引き上げる方法を学び、ダミー人形で実践。続いて、消防が救急搬送の手順を確認した。参加者は多くの人々がウオッチングを楽しむシーズン中の海難事故発生に備えた。

 

奄美クジラ・イルカ協会の興会長は「いかに救助者を安全に引き上げることが難しいかを実感した。万が一、海難があったときに役立つ訓練だったと思う。今後も事業者側として最大限の安全対策を図っていく」と述べた。

 

奄美海保警備救難課の中條智課長は「奄美周辺海域で事故が発生した場合は、官民で連携し対応する。今回はコンディションが悪い中、スムーズに訓練を行うことができた。訓練は積み重ねが大切なので、来年以降も可能な限り継続していきたい」と話した。

 

同協会と奄美海保は昨年から観光船の安全運航に関する講習会を行っており、当日も訓練後に実施。重ねて事故防止への取り組みを確認した。