25年4月開館予定 クロウサギ研究飼育施設 地鎮祭で工期中の安全祈願 大和村

2023年04月25日

政治・行政

地鎮祭の神事でくわ入れを行う伊集院村長=24日、大和村思勝

大和村が整備計画を進めているアマミノクロウサギ研究飼育施設(仮称)の新築工事地鎮祭が24日、同村思勝の建設予定地であった。行政や施工業者など関係者20人が出席し、工期中の安全を祈願した。国の特別天然記念物アマミノクロウサギの保護や研究、展示などを目的に、2025

 

アマミノクロウサギ研究飼育施設(仮称)の完成予想図(大和村提供)

年4月のオープンを予定している。

 

施設は環境省奄美野生生物保護センターに隣接し、建築面積775平方メートルの鉄筋コンクリート造平屋建て。アマミノクロウサギの交通事故件数増加などを受けて、事故などで傷ついた個体の保護と治療、野生復帰に向けたリハビリテーションや、生態研究、来場者へ野生生物との関わり方を啓発する展示機能などを有する。

 

リハビリテーション期間中は、農作物の食害防止に役立てるため、餌の嗜好(しこう)性や忌避剤の効果、跳躍力など身体能力の研究も行い、農業現場に役立てる。また、児童生徒を対象とした環境教育の実施や、奄美大島をフィールドとしている研究者の活動支援の拠点施設としても位置付ける。

 

施設の建築管理者は東条設計(鹿児島市、東條正博代表取締役)、工事施工主は大和建設(大和村、仁規浩二代表取締役)。建物の建設事業費は約5億円で、奄振の環境拠点連携整備事業交付金などを活用し、5割を国、1割を県が負担する。工期は23年4月から25年3月末まで。

 

同村では大棚地区で天然温泉を目玉とした民間の大型観光施設の建設も進んでいる。伊集院幼村長はクロウサギの研究飼育施設整備も合わせた交流人口増への相乗効果を期待するとともに、「訪れた観光客や地元の子どもたちが自然の豊かさを感じ、環境保全について学べる場として、施設を村の発展につなげていきたい」と話した。