「下原洞穴遺跡」への理解深める 「貝塚人とクロウサギ」講演会 天城町

2023年11月17日

地域

アマミノクロウサギや下原洞穴遺跡について理解を深めた講演会=16日、天城町

天城町教育委員会主催の講演会「貝塚人とクロウサギ」が16日、天城町防災センターであった。地域住民や町内3中学校の生徒ら約170人が参加。沖縄大学客員教授・地域研究所特別研究員の山田文雄氏と鹿児島大学国際島嶼(とうしょ)教育研究センター教授の高宮広土氏の講演に加え、来場者との質疑応答も実施。アマミノクロウサギの生態や「貝塚人」たちの暮らしを学びながら、同町西阿木名に残る「下原洞穴(したばるどうけつ)遺跡」について理解を深めた。

 

奄美・沖縄地域では約2万年前と約7千年前の間の遺跡が極端に少なく「空白の1万年」とされている。同期間の土器が確認された遺跡は2カ所しかなく、下原洞穴はその一つ。町と町教委は遺跡が町初の国指定史跡となることを目指している。講演会は地元や子どもたちに同遺跡への理解を深めてもらおうと開いた。

 

山田氏は捕食性哺乳類に弱く近親交配で種としてぜい弱であるなど「絶滅しやすい」アマミノクロウサギの特徴を紹介。高宮氏は約1万7千年前から千年前の「貝塚時代」の足跡が残る下原洞穴遺跡の貴重性やヒトの移住が及ぼす環境、動物類への影響を説明。共に「アマミノクロウサギが奄美・徳之島で生き残っている奇跡」について解説した。

 

後半は西阿木名中2年の﨑村倫太朗さんや天城町で「森と海の藝術楽校」を主宰する、のせたかこさんも登壇。講師2人と来場者が活発に意見交換した。

 

﨑村さんは3年前に山海留学制度で福岡県から徳之島へ。講演後「とても緊張していたが舞台に上がると気持ちがほぐれた。将来は獣医師になり、大人になったら奄美に戻り生き物の研究をしたい」と話した。