徳三宝の名を後世へ 力石の揮毫式に20人参加 徳之島町
2023年10月26日
地域
明治から昭和にかけて活躍した徳之島出身の柔道家、徳三宝氏が鍛錬のために使ったとされる力石への揮毫(きごう)式が24日、徳之島町役場であった。町職員や徳氏ゆかりの町民ら約20人が出席。高岡秀規町長が力強く「力石」の2文字を書き入れ、出席者一同で島が輩出した傑物を後世に語り継いでいく意向を固めた。
徳氏は1887(明治20)年生まれ、天城町兼久出身。1906年に柔道の総本山講道館に入門し、後に講道館最高位の10段に昇格した三船久蔵氏、田畑昇太郎氏との名勝負で全国に名を知らしめた。1945年3月10日の東京大空襲で被災し死去した。享年59。
力石は重さ50・3キロ。徳氏が徳之島町亀津で過ごした青年時代に持ち上げたり投げたりして鍛錬に用いたとされる。1974(昭和49)年に旧役場へ寄贈され正面玄関そばに設置されていたが、昨年の新庁舎本体完成に伴い徳氏の頌徳碑とともに新庁舎の西側へ移設した。
揮毫式には母親が徳氏のめいに当たる大河平才毅さん(76)=同町亀津=も出席。大河平さんはあいさつの中で「荒っぽい武勇伝の多い三宝だが、母からは家族には優しかったと聞いている」と逸話を紹介し、「小さな島から全国に名をはせた三宝のように徳之島の子どもたちも世界に羽ばたいてほしい」と期待を込めた。