環境負荷、ごみ問題を指摘 ハワイ州のミレイさん講演 奄美市名瀬で交流会
2019年02月13日
地域
奄美・沖縄の世界自然遺産登録を見据えて県が奄美各地でコース選定を進める「世界自然遺産 奄美トレイル」の全体交流会が12日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。2018年度にコースを決定する4地区の住民らがコース案を発表。トレイル先進地の米国ハワイ州の専門家マイケル・ミレイさんが講演し、観光客の増加による経済効果の一方で、過剰利用による環境負荷やごみ問題などの課題を指摘した。
奄美トレイルは奄美の自然や文化を体感しながら歩く道のこと。自然遺産登録の効果を群島全体に波及させようと県が16年度に既存の道を利用したコースの選定を開始。17年度までに8地区で選定が完了した。5島の全14地区のコースをつなぐロングトレイルを計画し、21年度の全線開通を目指す。
全体交流会は3回目。コース選定に参加した住民や行政、観光関係者ら約40人が参加。奄美市名瀬、大和村、瀬戸内町、天城町の4地区について、コース案と見どころなどの特徴が紹介され、標識の設置場所や他地域との接続など課題の報告もあった。
ミレイさんはハワイ州土地天然資源局野生生物課に勤務し、六つの島にあるトレイル(登山道)の管理を担う。講演では最初に「ハワイと奄美は非常に離れているが、たくさんの共通点がある。奄美のトレイルを見て美しい景観を守ることの重要性をあらためて感じた」と述べた。
観光客や住民ら年間350万人が利用する同州のトレイルについて、1日1500人が訪れる「マノアの滝」など、「人気が集中するところは管理をしっかりしないといけない」と強調。登山道の環境負荷や自然体験の質の低下に加えて、山岳地や渓流で危険な行為を撮影して投稿するSNS(会員制交流サイト)や、ごみの増加などの問題を指摘した。
ごみ拾いや外来種駆除など、トレイルの管理に協力するボランティアの活動を紹介し、「トレイルは経済的な利益をもたらすと同時に文化や景観の大切さを伝えてくれる。住民や地域のさまざまな団体が管理に参加してほしい」と呼び掛けた。