あすから、マスクなしへ 着用は個人の判断に 奄美でも対応進む

2023年03月12日

地域

館内でのマスク着用を求める掲示が張られた公共施設=10日、奄美市名瀬

新型コロナウイルスの感染対策として求められていたマスク着用が13日から個人の判断に委ねられる。約3年続いたマスク生活が転換期を迎えた。島内の公共交通機関や飲食店、商業施設では利用者や従業員の対応を見直すなど準備を進めている。

 

■政府の方針

 

政府はマスク着用の個人判断を2月10日に決定。本人の意思に反して着脱を強いることのないよう配慮を求めているが、医療機関や高齢者施設への訪問時、混雑した公共交通機関に乗車するときなどは引き続きマスク着用を推奨する。

感染対策や事業上の理由で、事業主が利用者や従業員に着用を求めることは許容されているため、事業所によって対応は分かれる。島内では緩和におおむね従う動きがあるものの、慎重な声も聞かれた。判断を迫られる事業所は、感染拡大やトラブルが生じないよう思案している。

 

■公共交通関係

 

奄美群島経由で鹿児島~沖縄を結ぶ定期船を運航するマルエーフェリー、マリックスライン各社は、乗船客にマスク着用を求めない方針を決めた。一方で乗組員は引き続き原則マスクを着用。5月の新型コロナ5類移行へ向けて総合的な対策緩和の可否を検討するという。

 

奄美群島発着便を運航する日本航空(JAL)とピーチ・アビエーション、スカイマーク各社は、航空機や空港内でのマスク着用について利用客、職員を問わず「個人の判断に委ねる」とした。加えてJALはマスク着脱をめぐるトラブル防止を念頭に、個人の主体的な判断を互いに尊重するよう呼び掛けている。

 

奄美大島で路線バスを運行するしまバスは、「着脱は利用客の判断に任せる」とした上で、通勤・通学の混雑時は着用を推奨する。従業員は当面の間着用。車内の消毒や換気、飛沫(ひまつ)防止カーテンの設置、運転席後方の使用禁止などは引き続き行うという。

 

■観光関連業界

 

奄美市住用町の奄美大島世界遺産センターは、入館時の検温・消毒など現行の感染対策を踏まえ「基本的に変わらないが、マスク着用は強く求めない」方針。担当者は「来館者に口頭で説明する際などはマスクがない方が内容を伝えやすい。ただ感染動向や他施設の対応は注視したい」とした。

 

隣接する観光施設黒潮の森マングローブパークはカヌー体験やグラウンドゴルフなど屋外活動を主とした施設であり、「マスク着脱はすでに各自で判断している状況」と担当者。感染対策に関して具体的な方針転換の予定はないという。

 

「新型コロナが収束していない中、全国旅行支援で人の行き来が盛ん」と少なからぬ感染不安を考慮し、引き続き宿泊客と従業員にマスク着用の協力を呼び掛ける方針を示すのは、宿泊施設・ホテルニュー奄美(同市名瀬)。琉子嵩弘支配人は「施設内で感染が広がれば営業できなくなってしまう。対策緩和の時期は慎重に見極めたい」と気を引き締めた。

 

■飲食店

 

座敷、テーブル合わせて120~130席を有する同市名瀬の居酒屋・誇羅司屋(ほこらしや)では、利用客の着用は個人判断に任せ、従業員は当面の間着用する方針。川上誠代表取締役社長は「従業員がマスクをしていないとお客様に不快感を与えてしまう。食事中も口元に手を当てるなど気を使っている方もいる」と慎重な姿勢を示した。

 

■小売店

 

「お客様は着用自由。スタッフは4月末まで店内での着用を義務化し、5月以降は再検討する」旨の案内を掲示するのは、100円ショップを併設するスーパーマーケット・グリーンストア入舟店(同市名瀬)。赤尾均店長は「ピーク時間帯や売り出しなどで人が密集する場合は、マスクを携帯して適宜着用していただけると助かる」と柔軟な対応へ協力を求めた。