中高生が空き家活用 龍郷町でプロジェクト始動 室内の片付け、清掃に汗流す
2025年03月24日
地域

空き家の残置物を仕分けする生徒ら=23日、龍郷町嘉渡
中高生が空き家対策や活用方法について考える「中高生空き家活用プロジェクト」が龍郷町で始まっている。町企画観光課が主催。町内在住の生徒たちが中心となり、同町嘉渡にある空き家1軒の活用に向けて取り組んでいる。23日は室内に残された荷物の片付けを行い、参加した高校生5人が清掃や仕分け作業に汗を流した。
同課によると、町内には約190軒の空き家があり、半数以上が荒波地区に集中している。町は空き家を活用したい所有者と住みたい人をつなぐ空き家バンクを運営しているが、入居の需要に対して住居の供給が足りていない状況が続いているのが課題だ。
プロジェクトは、現場での取り組みを通して生徒らに地域の空き家問題への関心を高めてもらうことが目的。中高生だけでなく、地域住民や移住者も巻き込んだ活動に発展させることを目指している。
発足のきっかけは昨年7月、町内の中学生を対象に実施した「住教育」に関するワークショップで、生徒から「自分たちで空き家を改修して活用したい」との意見が出たこと。12月にプロジェクトを立ち上げ、今年1月19日に1回目の片付け作業を行った。
活動拠点となる嘉渡の空き家は築40~50年の木造平屋建て。空き家になってから2、3年ほどだという。所有者から許可を得てプロジェクトに使用しており、今後は生徒たちが清掃やリフォームを行い新たな活用方法を考える。
この日は午前9時すぎから清掃を開始。生徒たちは二手に分かれて、台所やリビング、物置部屋などに置かれた荷物を使えそうな物とごみに分別した。
残置物からは、古い映写機やラジオ、写真、昔ながらのおもちゃ、手描きの大島紬の図案や機織りの道具などが見つかった。生徒たちは興味深い物を見つけると互いに見せ合いながら、楽しそうに仕分け作業を進めていた。
作業は正午まで約3時間かけて実施。衣類や食器など使えそうな物を段ボールと衣装ケース計8箱に詰め、ごみは約20袋分にまとめた。
学校で空き家の活用をテーマに探究活動を行ったという南心月(しづく)さん(16)=大島高校、同町戸口=は「お宝探しのようで楽しかった。間取りは昭和っぽさがあり、時代や文化が交ざり合っていて面白い。カフェや勉強スペースなど、子どもから大人まで自由に使える空間にしたい」と期待を膨らませた。
同町地域おこし協力隊の竹内ひとみさん(26)は「空き家問題に関心を持っている生徒が多い。アイデアを実行に移し、子どもたちが取り組むことで地域の大人たちにも関心を持ってもらえたら」と語った。
次回の活動は6月ごろを予定している。プロジェクト参加者も随時募集中。問い合わせは電話090(7760)9491たつごう移住ガイドセンター「住もうディ」へ。
(餅田彩葉)