住民ら後片付けに汗 鶏卵出荷再開へ安堵 孤立解消から一夜明け 奄美大島豪雨・宇検村

2023年06月25日

地域

浸水被害で堆積した土砂を片付ける住民=24日、宇検村名柄

記録的な大雨による土砂崩れなどで県道が寸断され23日夕まで孤立状態が続いていた宇検村西部の6集落。一般車両の通行が可能となり、孤立解消から一夜明けた24日、同村須古から屋鈍へ続く県道は土砂の撤去や電線復旧を行う車両が行き交った。集落内では被災した親族宅を訪れ復旧作業を手伝う人々の姿も見られ、奄美大島有数の鶏卵生産を誇る養鶏関係者からは、遅れが続いていた卵の出荷再開に安堵(あんど)の声が聞かれた。

 

名柄集落では午前中、浸水被害を受けた住民らが後片付けをする姿が見られた。同集落に住む70代男性宅を訪ねた保野正行さん(66)=同村湯湾=は、須古在住の親族2人と3人で床上浸水した家屋を清掃。約3時間、寝具、衣類の処分や土砂撤去などに汗を流した。

 

保野さんは「家の周りは10センチ近い高さの土砂で覆われていて、被災状況に驚いた。この家の住人は1人暮らしで、被災して心身ともに大変な状況。自分たちが片付けを加勢することで、負担を軽減できれば」と話した。

 

出荷が再開し、奄美市内のスーパーに陳列された山下養鶏場の卵=24日、同市名瀬

同村部連集落で採卵鶏2万羽を飼育し、1日当たり約1万5千~6千個を採卵する山下養鶏場(山下潤一代表取締役)は22日までの2日間、県道通行止めの影響で卵の出荷休止を強いられた。出荷を再開した23、24日は出荷量を通常の約2倍に増やし、保管分の卵を出荷した。

 

同養鶏場は通行止めの期間中、孤立した集落と湯湾集落を結ぶ船便で出勤した従業員もいるなど、労働力確保にも苦慮。山下代表(49)は「2日続けて出荷できないのは初めてのこと。道路が寸断されてはどうしようもない。保管していた分も出荷ができてほっとした」と胸をなで下ろした。

 

村内では24日午後5時現在、県道の名柄―久慈、村道の宇検船越線、湯湾大棚線、下朝戸上大久保線が通行止め。復旧のめどは立っていない。