喜界、与論で未設置 県の無料PCR検査場 実施事業者確保できず 新型コロナ

2022年02月07日

地域

県から与論町へ配布された検査キット=2日、同町

新型コロナウイルス対策として県が無症状者を対象に実施しているPCR等検査無料化事業で、奄美群島では喜界と与論の2島で実施事業者の確保が難しく検査体制が構築できていない状況が続いている。喜界、与論両町と県は感染防止対策強化へ向け、無料PCR検査場の設置を急いでいる。

 

県は、新型コロナの変異株「オミクロン株」の感染者急増を受け、感染に不安を感じる無症状者を対象にした無料PCR検査を1月5日から開始した。検査場は2月3日時点で141カ所登録されている。

 

県の新型コロナウイルス感染症対策室は、喜界、与論両島での無料PCR検査場設置について「できるだけ早期の設置を目指しているが、薬局や医療機関が少ないこともあり、実施する事業者がいない状況。検査場設置の具体的な日程はまだ未定」と説明した。

 

PCR等検査無料化事業は、県民が対象の「感染拡大傾向時の一般検査事業」(2月20日まで)と、県外在住者も対象となる「ワクチン検査パッケージ・対象者全員検査等定着促進事業」(3月31日まで)の2事業ある。

 

喜界、与論両島での検査場設置は、まん延防止等特別措置期間の20日までに間に合わない可能性もあるが、県の担当者は「定着促進事業もあるので、20日以降も年度内は無料PCR検査場の登録ができる」との認識を示した。

 

喜界町の担当者は「町内で1カ所は検査場を設ける方向で県と協議している」。与論町の担当者は「新型コロナの影響で、医療関係の島内の人員は不足している。県などと協議しながら検査場設置へ向けて調整を進めたい」と語った。

 

県は民間事業者から寄贈された検査キットを1月、県内離島に配布し検査体制の強化も図っている。奄美群島には計5200セット配布され、このうち与論、喜界両町には、それぞれ400セットが届いている。

 

喜界町は400セットを保管し、町内で新たに感染者を確認した時点で、感染に不安を感じる町民へ配布できるように調整を進めている。与論町は、200セットを感染に不安を感じる町民へ配布する計画で、利用を呼び掛けている。残り200セットは、与論高校へ配布し、生徒らの受験や部活動の遠征時に活用されている。