要介護者の避難支援を 「個別避難計画」研修会 介護・医療従事者ら参加 奄美群島

2022年10月02日

地域

介護従事者らが要介護者などの避難支援について学んだリモート形式の研修会=1日、奄美市名瀬 

奄美市と奄美大島介護事業所協議会(盛谷一郎会長)が主催する「災害時の要介護者等の適切な避難」に関する研修会が1日、リモート形式であり、奄美市役所5階会議室から配信された。奄美群島内の介護・医療従事者や行政職員など約80人が参加。障がい者や要介護者への適切な避難支援について学んだほか、一人一人の避難行動を事前に決める「個別避難計画」の重要性を再確認した。

 

今年1月16日未明に発令された津波警報では、自ら避難することが困難な避難行動要支援者への対応が課題となった。これを受け、介護従事者らが災害・防災について知識を深める場として研修会を実施した。

 

研修会では、同協議会が2月に奄美大島内の介護従事者と要介護者を対象に実施した「災害時の在宅要介護者の避難に関する実態調査」の結果を報告。後半は、鹿児島県地域防災アドバイザーの村野剛さん(60)が個別避難計画策定の考え方について講演した。

 

村野さんは「いざという時のために普段からリスクコミュニケーションを取ることが大事」とし、災害時の対応策などを時系列に想定する方法を説明。個別避難計画で考慮することとして、避難行動要支援者の▽体の状況や周囲の環境▽支援者▽避難の手順▽適切な避難時期│などを挙げた。地域や行政との連携強化の重要性も訴え、「現場が混乱なく活動でき、弱者が安心して避難・生活できる環境のため、情報の整理と共有を」と呼び掛けた。

 

参加者からは、建物内の垂直避難の安全性や、避難ができない人たちへの支援方法などについて質疑があった。同協議会事務局の勝村克彦さん(51)は「参加者には避難支援の基本を学んでもらえたと思う。今後は対面でも勉強会を実施し、個別避難計画の策定を進めたい」と語った。