障がい者支援の在り方学ぶ 「ミライのサキPROJECT」 奄美市住用町小松選手が講演、経験語る

2024年03月04日

地域

車いすの介助方法をアドバイスする小松沙季選手(左)と体験する参加者=3日、奄美市住用町

障がいについて正しく楽しく学ぶイベント「ミライのサキPROJECT in奄美大島」が3日、奄美市住用町の奄美体験交流館であった。先月21日から同町で合宿を行っている、東京パラリンピックカヌー競技日本代表の小松沙季選手(29)=電通デジタル=が自身の経験談を講演。参加者は車いす体験などを通じ、障がい者支援の在り方に理解を深めた。

 

小松選手は2019年、脊髄神経根炎で両手がしびれ、下半身がまひし、車いす生活になった。パラカヌー競技は21年に始め、昨年10月には中国・杭州で開かれたアジアパラ競技大会で銅メダルを獲得。住用町合宿は3回目で、パリパラリンピック出場を目指し練習に励んでいる。

 

イベントは障がいを知り、解決策を考えるきっかけにしようと初開催。高校生や専門学校のボランティア、福祉関係者ら約60人が参加した。

 

小松選手は講演で、世界人口の約15%が障がいを抱えている事例を示し「周りに障がい者がいることは当たり前」と強調。道の段差や駐車場の狭さなど、車いすで日常生活を送る上での困り事を挙げ「障がい者が困っていることに気付いて解決策を考え、断られる前提で声を掛ける行動をしてほしい。その一声で車いすユーザーは安心する」と理解を求めた。

 

イベントには元プロ野球選手の黒羽根利規さん、元大相撲力士の豊ノ島さんもゲスト出演。参加者は車いすに乗ったり介助を体験したほか、車いすを使った障害物リレーなど交流も楽しんだ。

 

イベントに参加した大島高校1年の東琉偉さん(16)は「車いすでの移動は少しの段差も障壁になる。介助も人手が必要なので、困っている人を見掛けたら声を掛けて助けたい」と話した。