農福連携でバレイショ加工 伊仙町面縄に施設整備へ 奄美ブルー・スカイ農園

2023年09月19日

社会・経済 

くわ入れの儀を執り行う奄美ブルー・スカイ農園の榮時弘代表取締役=18日、伊仙町面縄

農業を通じて障がい者らの自立支援に取り組む奄美ブルー・スカイ農園(伊仙町、榮時弘代表取締役)が国の農山漁村振興交付金を活用し、伊仙町面縄地区に整備するバレイショ処理加工・集出荷貯蔵施設の地鎮祭が18日、同地区の建設予定地であった。アルコールや薬物の依存症患者を雇用して規格外品の加工などを展開し、自立支援と農業振興の「農福連携」を図る。地鎮祭には関係者約40人が出席。無事故安全を祈願するとともに、新たな挑戦による事業の発展に期待した。

 

町が進める面縄地区活性化計画と連携した取り組み。2022~24年の3年間で農業用器材と保管庫、拠点施設、バレイショ関連施設、農業用ビニールハウスなどを面縄地区に整備する。総事業費は2億2114万円で、うち半額は国の交付金で賄う。24年度の運用開始を予定している。

 

神事に続き、大久保明町長が「規格外で廃棄される多くのバレイショの加工が可能になり、農家の生産意欲も大きく高められる」と、施設の意義を強調。「これからの地方の農業や福祉の在り方のモデル事業になる」と期待を込めた。

 

23年度事業で整備するバレイショ処理加工・集出荷貯蔵施設は鉄骨1階建て、600平方メートル。さらに面縄港近くにある旧保健センターを、奄美ブルー・スカイ農園と連携する就労継続支援B型事業所「NPO法人奄美ブルー・スカイ」の拠点として改修する予定。

 

同NPOによると、23年度の雇用実績は島内外の計10人。榮代表取締役は「これからの社会に必要な事業の一翼を担う機会をいただいた」と関係者への感謝を述べ、「障がいの有無にかかわらず、すべての人が生き生きと暮らせる社会の実現のために力を尽くしたい」と意欲を語った。