「許されない」「ショックだ」 安倍元首相、14年に奄美を訪問

2022年07月09日

社会・経済 

現職首相として初めて奄美大島を訪れた安倍晋三氏=2014年4月19日、奄美市笠利町の太陽が丘総合運動公園

参院選の遊説中に奈良県内で銃撃され、命を落とした安倍晋三元首相。2014年には現職首相として初めて奄美大島を訪れ、奄美群島の振興策に全力を挙げる考えを示した。奄美の関係者や地元住民からは8日、「ショックだ」「許されることではない」と驚きや憤りの声が上がった。

 

安倍氏は14年4月19日、衆院鹿児島2区補欠選挙で自民公認候補だった金子万寿夫氏(75)を応援するため奄美大島を訪問。約3千人が集まった奄美市笠利町の太陽が丘総合運動公園で演説し、「日本の景気を良くすれば奄美は間違いなく良くなる。離島で頑張る皆さんの生活を応援する」などと11分余りにわたって力説した。

 

前衆院議員で自民党鹿児島県第二選挙区支部長の金子氏は「衆院選では直接、応援をいただいた。感謝の念は非常に大きい」と振り返り、「新たな日本をつくろうとメッセージを出していたさなかだった。残念無念でならない。このような事件は決して許されることではなく、強い怒りを感じる」と非難した。

 

自民党奄美支部長代行の向井俊夫県議は安倍氏の奄美訪問に触れ、「歴代首相の中でも大変身近に感じていた。大変な驚きと憤りを感じている。民主主義社会で決してあってはならないことで、許しがたい蛮行」と憤った。

 

地元住民にも衝撃が広がった。奄美市笠利町の商店でテレビのニュースを見守っていた店主の叶昌太さん(44)は「日本でこういうことが起こるのはショッキングだ。政治家は価値観や思想の違いで逆恨みされたりするが、行き過ぎた行為で恐ろしい」と話した。

 

奄美市名瀬の恵遼太郎さん(33)は「首相当時、応援していたのでショックを受けている。なぜこのタイミングで元首相を狙ったのかが分からない」と首をひねった。

 

同市名瀬の女性(72)は「ニュース速報を見てびっくりした。たとえ恨みがあっても、絶対にしてはいけないこと。容疑者が今後、どんな言葉を語るのかが気になる」と語った。