あおがしま丸が入港 十島村航路、再会喜ぶ家族も 名瀬港

2024年03月16日

社会・経済 

名瀬港に入港した「あおがしま丸」と下船客を待つ家族ら=15日、奄美市名瀬

昨年末に発生した火災により運休が続く十島村営船「フェリーとしま2」(1953トン)の代替便として、伊豆諸島開発(東京都港区)所有の「あおがしま丸」(460トン)が15日午後5時すぎ、奄美市の名瀬港に入港した。十島村の住民ら計17人が下船。16日午前3時ごろ名瀬港を出港、各島を経由し鹿児島へ折り返す。19、23日にも名瀬へ入港予定。

 

十島村によると、現在「フェリーみしま」などの代船が一部区間の運航を行っているが、鹿児島港―十島村の全有人島―奄美大島名瀬港を結ぶ貨客航路の運航は、火災発生後初めて。

 

あおがしま丸は現在、伊豆諸島各島への貨物船などとして運航中。2022年3月に新造船「くろしお丸」に役割を引き継ぐまで、八丈島~青ヶ島間を結ぶ定期旅客船として活躍した。断崖絶壁に囲まれ防波堤のない青ヶ島は就航率が5割程度となる時季も。荒波の中、乗組員と陸上員が連携し着岸する様子は動画投稿サイトなどにも掲載されている。船会社によると、あおがしま丸の先代「ゆり丸」も過去に十島村航路で代替船運航した経緯があり、十島村の要請に応じ代替船運航が決まった。

 

名瀬港で同船の入港を待っていた宝島在住の久優花さん(27)は出産を控え、今年1月に鹿児島を経由し母親の牧口典子さん(61)が住む奄美大島へ。宝島に住む夫の家康さん(30)と約2カ月ぶりの再会を果たした。家康さんは「船は全く揺れず快適だった。(再会は)うれしいです」と話した。

 

同船は就寝スペース確保のため、十島村航路の旅客定員は最大より少ない31人で運航。乗船予約を請け負う中川運輸(鹿児島市)によると、15日午後2時時点で、今後の鹿児島発下りは満席。名瀬発上りは空席がある。