イベント盛況、観光には陰りも LCC減便など影響か 奄美のGW

2024年05月07日

社会・経済 

イベントを開催し多くの親子連れでにぎわった奄美市笠利町の観光施設=3日、県奄美パーク

2024年のゴールデンウイーク(GW)が終わった。今年は4月27~5月6日で、平日の中3日を休むと最大10連休。新型コロナウイルスの5類移行後初めての春の大型連休とあり、群島各地でさまざまなイベントが開かれ、会場は家族連れや観光客でにぎわった。一方、宿泊やレンタカーなどの観光業界からは来島客の伸び悩みを感じたとの声も。格安航空会社(LCC)の減便や飛び石連休による旅行控えなどの影響への指摘も聞かれた。

 

■イベント■

GW前半の4月27日~29日は喜界島や徳之島で海開きがあり、児童生徒らが海水浴シーズンの開幕を喜んだ。徳之島では5月4日に闘牛の全島一決定戦を実施。2日から5日にかけて闘牛イベントが続き、会場は熱気に包まれた。

 

奄美市では奄美川商ホールやアマホームPLAZAで絵画展や音楽イベントが開かれた。4、5の両日はマリンタウン地区緑地公園前でこどもまつりが初開催され、ダンス発表や大型遊具、屋台などに子どもたちの笑顔がはじけた。

 

奄美市笠利町の県奄美パークは4月27日から5月5日までの9日間で約3800人が来場。5月3日のあまみっ子フェスタ、5日のわらべシマ唄大会などのイベントで盛り上がった。西昭一朗事業課長は「恒例イベントを開催し、来場者数は昨年並みの印象。連休明けも昨年同様ツアー客の予約が多く入っている」と語った。

 

■観光・レンタカー■

奄美市笠利町のレンタカー6店は連休の客足の印象について、5店が「昨年より減少」、1店が「少し多かった」と説明。「昨年は朝に返却された車を、昼の客に貸し出していたが、今年は(そうしたことが)なかった」「暇だという声も聞こえてくる」など、昨年よりも利用者が減少したという声が多く、「LCC関西便の運休」「レンタカー店が増えて客も分散したのでは」などと分析した。

 

同市住用町の黒潮の森マングローブパークには5月5日までの9日間に1450人が来場。施設を運営するマングローブ公社の川内正貴事業課長は「5月の祝日は飛び込み客も多かったが、全体としてはコロナ禍以前の水準には届かなかった。今年は連休の中日が3日間で、休みが取りにくかったことも影響したのでは」と語った。

 

同市名瀬の奄美海洋展示館は連休期間中、島内外から約3千人が訪れた。竹岡紀崇館長は「来館者数は昨年の方が多く、キャンプ場の利用も2、3組程度。LCCの減便も影響が大きい。夏にかけて定期的にイベントを開くなどして集客を図りたい」と話した。

 

■宿泊施設■

奄美群島の観光ホテル業者からは、「連休後半はほぼ満室。イベント開催や世界自然遺産登録で全体的にコロナ禍前よりも増加傾向にある」(徳之島)、「稼働率8割程度でコロナ禍前とほぼ同じくらいに戻った」(沖永良部島)と手応えを語る声も。一方で「レンタカーは利用が増えたものの客足は思ったより伸びなかった」(徳之島)、「里帰りの家族連れが多かったが、例年通りとはいかなかった。物価高騰の影響が客足を鈍らせているのでは」(同)といった声も目立った。

 

中には「昨年に比べ、(宿泊客が)4割減った日もあった。LCC減便の影響は想定していたが、このまま減便が続くと設備投資の面で考え直す必要が出てくる。隔週でもいいので飛ばしてほしい」(奄美大島)、「客足は年末年始から下火が続いており、このままでは夏も不安。交通の便が悪いことや、滞在中に遊ぶ場所が少ないことなどが旅行者の満足度低下につながり、結果として旅行先としての需要減、LCCの減便という悪循環を招いているのではないか」(同)との指摘もあった。