与論町「群島一」住宅不足解消へ 改修費、登記など課題 大島支庁「家守りプロジェクト」報告会

2023年03月06日

社会・経済 

与論町の住宅不足問題について現状と課題が指摘された家守りプロジェクト事業報告会=2月22日、同町(町役場提供)

【沖永良部総局】与論町の住宅不足問題を解決する「家守(やも)りプロジェクト」事業報告会(県大島支庁主催)は2月22日、町役場多目的ホールであった。プロジェクトの受託事業者が、「群島一」といわれる同町の住宅不足の現状と課題について調査概要を報告。改修費用の負担や登記などの手続き面が課題となり、活用できる可能性のある不動産は少ないとして、「所有者や物件の状況に応じた効果的な活用方法を提案するなど適切な支援、啓発が必要」などと指摘した。

 

県大島支庁では2022年度から奄美群島内の住宅不足を解決するための構想策定を目指し、与論町をモデルとした同プロジェクトを実施。今年度は今後10年間で必要となる住宅の供給量と需要量を調査した。報告はNPO法人あまみ空き家ラボの佐藤理江理事長が行った。

 

供給量については、民間、公営、公務員住宅などの提供戸数約600戸中空室は5戸。公営、公務員住宅については「老朽化し、新規住宅の整備検討や早期の改修、建て替えが必要」とした。

 

供給可能性のある物件として住宅転用の可能性がある宿泊施設、民間企業の遊休施設、空き家・民有地の家主・地主特定、活用意向調査なども実施。空き家は89戸中15戸が活用可能で、宿泊施設は6施設60室が住宅転用可能としたが、改修のための手続きや経費面の負担が課題とした。

 

需要量は町内企業などへのヒアリング、アンケート調査を行い、求人による新規転入者に対する住宅として、将来的に100~250戸(主に単身用)必要と推計。移住希望200戸、Uターン150戸、島内での住み替え70戸とし、今後10年間の新規住宅需要は計約670戸と見込んだ。

 

約670戸の9割が島外需要で、新規供給量を約220戸と推計すると約450戸が不足し、「既存の不動産流通では賄いきれないため、優先順位を決めて必要な住宅施策を講じる必要がある」と考察をまとめた。

 

後半は、空き家・空き地の掘り起こしや活用のための改修、移住・定住希望者などのマッチングを行う官民一体の取り組み「与論島住まいるプロジェクト」の報告があった。

 

報告会には空き家対策などに関わる行政関係者や民間事業者らが、会場とオンラインで計35人が参加。質疑応答では空き家活用の課題や農地転用の可能性などについて質問があった。