令和の名刀・名工展大賞に 「長年の成果」と喜び語る 大和村出身の久保善博さん

2022年10月15日

社会・経済 

「令和の名刀・名工展」で大賞を受賞した大和村出身の久保善博さん(提供写真)

大和村出身の刀匠・久保善博さん(57)=広島県庄原市在住=が、新作刀剣の展覧会「令和の名刀・名工展」(日本美術刀剣保存協会、全日本刀匠会共催)「作刀」の部で最高位の大賞を受賞した。久保さんは日本の古い製鉄法である「たたら製鉄」の研究とともに、現代の技術では不可能とされていた備前伝の名刀の再現に力を入れており、「長年の研究成果が実を結んだ」と喜んだ。

 

久保さんは千葉大大学院(農芸化学)修了後、東京の刀匠に師事。島根県で「たたら製鉄」の刀工を経て2001年、独立して庄原市西城町に善博日本刀鍛錬道場を開いた。11年に最年少で市民栄誉賞を受賞、16年には島根県の無形文化財「日本刀製作技術」保持者に認定されている。

 

展覧会は新時代の刀剣業界をけん引する現代の名工を選出し、未来へ伝える名刀を展示する目的で、19年の「平成」展に続き開催。刀身の製作技術の高さや美しさを評価する作刀のほか、刀装や研磨など刀剣製作に欠かせない技術を8部門に分け、新作を全国から公募した。

 

大賞作品は長さ75・5センチ、反り2・5センチの太刀で、刀身の「地鉄(じがね)」部分に木肌のような模様や、「映り」と呼ばれる独特の模様が見えるのが特徴。これらは特に平安~南北朝時代の刀剣に見られるという。久保さんは「長船派の長光の作風を手本に、20年以上研究を重ねてきた。持てる技術をすべてつぎ込んだものが評価され、とてもうれしい」と話した。

 

「令和の名刀・名工展」は岡山県瀬戸内市の備前長船刀剣博物館と岡山市の林原美術館で共同開催されている。期間は9月30日~11月27日。