健全な観光発展目指す 官民一体で意識共有 ワークショップ開催へ 奄美市でシンポジウム
2025年05月16日
社会・経済

ワークショップ開催地の代表者らが観光課題や解決策について意見を交わしたパネルディスカッション=15日、奄美市名瀬
2025~27年に奄美大島や沖縄で開かれる「奄美大島の健全な発展のためのツーリズムを考えるワークショップ」に先立ち、島内の観光業者や行政職員などを招いたシンポジウムが15日、奄美市名瀬のホテルで開かれた。84人が参加し、事例紹介やパネルディスカッションを通して各地の課題・対策に理解を深め、持続可能な観光の実現に向けて意識を共有した。
ワークショップは一般社団法人NEDI(奄美市笠利町、碇山勇生代表理事)主催。奄美大島でリゾート開発やオーバーツーリズム(観光公害)に伴う生活環境や景観への影響が懸念される中、官民が連携して情報や意見を交わす機会をつくることを目的としている。
奄美大島や宮古島、石垣島、竹富島、やんばる(国頭村)で計5回開催予定。郷土の自然や文化の価値が尊重され、地域に利益が還元される観光の仕組みづくりを目指す。
シンポジウムではワークショップの各開催地を代表して、一般社団法人YUUの下里千尋代表理事と原芹さん(宮古島)、石西礁湖自然再生協議会持続的海洋利用ワーキンググループの和泉航平事務局長(石垣島)、一般社団法人竹富島地域自然資産財団の水野景敬理事(竹富島)、Endemic Garden Hの仲本いつ美代表取締役(やんばる)が登壇。
地域の文化資源を高単価で提供する体験プログラムの造成や島民が主体となった環境保全、来島者が支払う入域料を活用した地域運営、ローカルルールや地域の魅力を伝える集落滞在型の宿泊施設など、さまざまな取り組みを紹介した。
パネルディスカッションでは、NPO法人TAMASU(大和村国直)の中村修代表も参加。パネリストらは、課題として観光客による神聖な場所への無断立ち入りや、事業者同士でのトラブルなど実例を共有した。望ましい観光の在り方として、量より質を重視したツアーの展開や地域らしさを表現したブランディングの仕方などを提案した。
NEDIの碇山代表理事は「官民が一体となり、同じ課題について考えを共有することは大事。奄美大島の各集落でも観光地化による問題がすでに起きている。良い奄美観光のため、ルールづくりをするきっかけになれば」と期待した。