出荷量5年連続減 22酒造年度需給状況 奄美黒糖焼酎

2023年09月08日

社会・経済 

酒販店の棚に並ぶ奄美黒糖焼酎=7日、奄美市名瀬の「酒屋まえかわ」

県酒造組合(濵田雄一郎会長)は7日、2022酒造年度(22年7月~23年6月)の県産本格焼酎の需給状況を発表した。奄美黒糖焼酎の課税移出数量(出荷量、実数)は6826キロリットル。前年度(6862キロリットル)とほぼ横ばいだが、5年連続で減少した。製成数量(生産量、25度換算)は前年度比1143キロリットル(16・6%)減の5762キロリットルとなり、2年連続減少。同組合は「新型コロナウイルス禍で在庫を抱えるメーカーが生産を控えた一方で、コロナが落ち着き業務用を中心に需要は回復しつつある」とみている。

 

県全体の出荷量は8万9795キロリットル(前年度比2・4%減)、生産量は10万9629キロリットル(同2・7%増)。少子高齢化やライフスタイルの変化、消費者嗜好(しこう)の多様化などを背景に消費が減少傾向にある中、長引くコロナ禍やサツマイモ基腐(もとぐされ)病の影響を受けた。九州4県(鹿児島、熊本、大分、宮崎)では大分県のみ出荷量が前年度を上回った。

 

国内での厳しい状況に対し、鹿児島県産本格焼酎の海外への出荷は699・696キロリットルで対前年度約120%と好調。中国や韓国などでの需要の回復が反映された。他方、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を巡り、中国政府が日本産水産物の輸入を全面的に停止したことから、同組合は「中国は本格焼酎の海外出荷先の約4割を占める国。今後、現地日本料理店などでの焼酎の消費への影響が強く懸念される」と警戒感を示した。

 

黒糖焼酎の出荷量はコロナ禍前の18年度比で94・9%、生産量は96・1%。同組合は「黒糖焼酎は外国人から飲みやすいと評価を得ており、世界自然遺産登録の効果でインバウンド(訪日外国人客)の増加も期待されている。奄美の自然、文化、伝統といった魅力と合わせて、関係機関と連携しながら今後も黒糖焼酎を国内外に発信していく必要がある」としている。