声なき声に、耳を傾けて ヤングケアラー支援フォーラム 奄美市名瀬

2022年11月20日

社会・経済 

ヤングケアラーの現状と課題への理解を深めた、ヤングケアラー支援フォーラムin奄美=19日、奄美市名瀬

家事や家族の世話、介護などを日常的に担う18歳未満の子ども「ヤングケアラー」について広く知ってもらうための「ヤングケアラー支援フォーラムin奄美」(NP0法人こどもエンカレッジ・アート主催)が19日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。NPO法人ふうせんの会(大阪市)の山中葉月さんが自身や当事者の経験談、同法人の活動を紹介。市民ら25人はヤングケアラーを取り巻く環境に理解を深め、支援への課題を共有した。

 

厚労省が2020年に行った調査によると、回答した中学2年生のうち、世話をする家族が「いる」と答えた割合は5・7%(17人に1人)。一方で、ヤングケアラーとされる子どもからは「必要な支援は特にない」「きつさは感じていない」との回答も多いという。

 

こうした状況について、山中さんは▽子どもが自分の家庭しか知らずに育ち、現状が当たり前と感じてしまう▽家庭のことを周囲に知られたくない▽負担でも大切な家族のためにケアをしたいという思いがある―などから、問題が表面化しにくいことが課題と指摘。

 

学業や就職、友人関係への影響を踏まえ「ヤングケアラーには家族を大切に思うのと同じように、自分のことを大切に考える時間が必要」と強調し「子どもがどう感じているか、声に耳を傾けて」と訴えた。

 

同市名瀬から参加した50代女性は「自分も過去に大好きな曾祖母の世話を当たり前と思い行っていた。繊細な問題で難しいが、子どもが安心して話ができる、そういう場所があることが大切と思った」と話した。

 

ふうせんの会では現役や元ヤングケアラーが集まり、経験の共有や傾聴などの活動を行っている。フォーラムは12月17日、徳之島町生涯学習センターでも実施予定。