富裕層向け宿泊施設完成 地域も歓迎、活性化に期待 徳之島町

2023年03月16日

社会・経済 

計5棟が完成した宿泊施設「YUUNA」=11日、徳之島町花徳

【徳之島総局】徳之島町花徳の里久浜で建設していた富裕層向け宿泊施設「YUUNA(結那)」がこのほど完成し、11日に町民へのお披露目会が開かれた。関係者や住民が多数訪れたほか、施設周辺ではステージイベントや屋外映画上映会もあり地域を挙げて完成を祝うとともに地域経済の活性化へも期待を寄せた。

 

施設は地域経済の自立と文化の継承・発展を目指す「AINUS(アイナス)ホールディングス」(本社群馬県伊勢崎市)が出資する「UI(ユイ)」(黒瀬啓介代表取締役)が町有地に整備したもの。5棟あり全棟が風呂、トイレ、キッチン、個室サウナ付き。2棟にはプールも整備している。

 

世界自然遺産の島のオーシャンビューが売りの宿泊施設となっており、主に富裕層の利用を想定。宿泊料は1棟利用で1泊10万円以上となる見込み。建物をデザインした建築家の山中祐一郎さん(51)=東京都=は「建物は古民家や高倉をイメージして周囲の景観とのバランスに配慮した。柱以外はほぼ窓と言える造り。宿泊者には島の財産である海の眺めを楽しんでもらいたい」と話した。

 

お披露目会の開会式には高岡秀規町長や地域住民代表など約50人が出席。高岡町長は「これまで私たちが想定していた観光客とは価値観の違う客層の利用を想定した施設。徳之島の素晴らしさを体験してもらえるように町としても努力、協力していきたい」と期待した。

 

施設の宿泊券はふるさと納税を利用して購入することができ、寄付額は10万~50万円。寄付額の3割が宿泊料から割り引かれる仕組みとなっており、現在までに9件240万円分の寄付があったという。

黒瀬代表(42)は「単に利益を求めるのではなく地域にお金を落とす仕組みを構築したい。エコツアーや集落と協力した島唄体験や島料理教室、マリンレジャーなど、地元の人材を活用した観光メニューを開発して地域活性化につなげたい」と述べた。