災害弱者支援へ知恵出し合う 宇検村、個別避難計画を検討

2023年03月16日

社会・経済 

避難行動要支援者の支援について協議する参加者ら=11日、宇検村

宇検村と鹿児島大学主催の防災ワークショップ「宇検村湯湾での個別避難計画を考える」が、東日本大震災の発生から12年を迎えた11日、村生涯学習センター「元気の出る館」であった。住民や消防団員、村保健福祉課職員ら約50人が参加。災害時に自力での避難が難しい高齢者や障がい者など「災害弱者」と呼ばれる「避難行動要支援者」の支援について、同村湯湾集落をモデルに協議し、実効性を持った個別避難計画の作成に取り組んだ。

 

個別避難計画は、災害弱者の逃げ遅れを防ぐため、あらかじめ一人ひとりの避難方法や支援者などを決めておくもの。2021年5月、災害対策基本法の改正により、国は計画の策定を自治体の努力義務とした。同村は、21年度から県や鹿大などと連携し、高潮や津波に対応した個別避難計画の作成を進めている。

 

ワークショップは、避難支援に携わる関係者の生命・安全の確保と、要支援者の心身状況や生活実態に基づいた実効性の高い計画へとつなげる狙い。

 

鹿大総合教育機構共通教育センターの岩船昌起教授らが、集落の測量調査や戸別訪問の聞き取り調査など、これまでの活動を報告。参加者は6班に分かれ、湯湾集落における要支援者の自立度や生活環境とハザードマップなどの防災資料とを突き合わせ、自然災害ごとに「いつ」「どこへ」「誰と」「どのように」避難し、支援するのか、意見を交わした。

 

須古集落で民生委員を務める吉田晶子さん(69)は「集落内には要支援者は少ないものの避難計画のための話し合いの場の必要性を感じた。ワークショップでの学びを集落でも役立てたい」と話した。

 

鹿大の岩井久理事(65)は「全国で個別避難計画の策定が急務とされる中、宇検村の取り組みは奄美群島だけでなく、県全域、国内外においても先進的モデルケースといえる。未曾有の災害を前にしても一人も欠けることのない『全員避難計画』となることを願う」と総評した。