災害時のドローン活用へ 状況確認、物資輸送など実験 瀬戸内町

2022年10月27日

社会・経済 

ドローンから送信された動画を見ながら、災害時の活用方法について考えを深めた関係者ら=26日、瀬戸内町役場

瀬戸内町と日本航空(JAL)、日本エアコミューター(JAC)など民間4社は26日、非常時のドローン活用に向けた実証実験を町内で行った。土砂災害で集落が孤立したとの想定で、上空からの被害状況の確認や、避難所への物資輸送などを実施。消防、警察、自衛隊も参加し、災害が発生した場合の情報共有と連携について考えを深めた。

 

瀬戸内町とJAL、JACなどが2020年10月に締結した連携協定に基づく取り組み。災害時の物資輸送や離島の買い物弱者の支援を目的に、23年4月からの実用化を目指す。

 

この日は午前・午後の部に分かれて実施した。午前の部には町職員のほか、陸上自衛隊瀬戸内分屯地、海上自衛隊奄美基地分遣隊、大島地区消防組合瀬戸内分署、瀬戸内警察署からも隊員と署員らが参加。ドローンの活用に加え、地域住民がスマートフォンアプリを使ってそれぞれの被害状況を町と共有するシステムの試験運用も行った。

 

実証実験は、土砂災害で加計呂麻島の西阿室集落が孤立したという想定。町役場には住民がアプリから発信した情報や、ドローンが撮影した動画や写真がインターネット回線を通して集約され、職員らが土砂崩れの発生場所の確認や、住民の避難状況、必要な支援などを確認した。

 

参加者からは「災害現場の情報がいち早く届き、迅速な救助につながる」という期待の声のほか、「ヘリの飛行ルートと重ならないよう、事前にドローンのルートを確認できるか」「どれくらいの雨風なら耐えられるか」「不明者の捜索に活用できないか」など、実用に向けた具体的な質問も相次いだ。

 

同町で運用するのは、携帯電話大手KDDIと連携して遠隔操作で遠方の無人地帯を自律飛行するタイプのドローン。最終的に購入する機種はまだ決まっていないが、実証実験を重ねて積載量や飛行時間などの条件に合うものを選定するという。

 

午後の部では加計呂麻島の瀬相港から西阿室小学校校庭への物資の輸送実験を行ったが、機体の不具合によりドローンは目的地に到着できずに終わった。JALでドローン関係の事業を行うエアモビリティ創造部の佐々木康人マネジャーは「想定と結果が違うのは本格導入の前に必要な過程。原因を追究し、次回に生かしていく」と話した。

 

27日は古仁屋│請島、与路島間で医療品や日用品の輸送実験を行う。