災害発生時の連携強化 瀬戸内徳洲会病院が実習受け入れ 陸自奄美警備隊

2024年01月16日

社会・経済 

自衛隊員の病院実務実習協定を締結した瀬戸内徳洲会病院の星川聖人院長(左)と奄美警備隊の長谷川健隊長=15日、奄美市名瀬

瀬戸内徳洲会病院(瀬戸内町古仁屋)と陸上自衛隊奄美警備隊は15日、同病院での実務実習訓練実施に関する協定を結んだ。災害発生時の連携強化と、自衛隊の現場では経験できない医療の実務能力向上が目的。同日から19日まで、隊員2人が総合外来で医師の診察補助や患者の食事、入浴介助などの臨床実習を行う。

 

協定は島南部の医療拠点としての同院の役割や離島の環境特性を踏まえたもので、災害時の連携強化とともに、島外の自衛隊病院での実習機会が限られる隊内の救命救急士や准看護士などが臨床経験を重ね、実務能力の向上を目指す。奄美警備隊後方支援隊衛生班の隊員2人が実習に参加する。

 

15日は奄美市名瀬の陸自奄美駐屯地で調印式があり、同病院の星川聖人院長と奄美警備隊の長谷川健隊長が会見を開いた。島内での災害発生時、自衛隊の活動は負傷者救助や病院への搬送が中心と考えているが、搬送時の病院への申し送りを的確にすることや、必要に応じ隊員が病院内で外来患者に対応することも想定しているという。

 

防衛省陸上幕僚監部によると、陸自駐屯地と地域病院との連携協定は全国で締結されている。長谷川隊長も「陸自西部方面総監部と日本赤十字社熊本県支部も05年に同様の協定を締結しており、16年の熊本地震で連携が図られた」と示した。奄美警備隊は昨年10月、奄美市名瀬の県立大島病院とも協定を締結。救命救急士の資格を持つ隊員1人が1週間、救急患者受け入れ実習を行った。

 

星川院長は「昨年6月末の豪雨被害を経験し、より一層災害対処の必要性を感じた。実習を通じ信頼関係を構築するとともに、自衛官に奄美大島の入所患者の特性である高齢者対応を習熟していただければ」と語った。

 

長谷川隊長は能登半島地震での支援活動を踏まえ「奄美大島でも土砂災害や道路の陥没が予想され、徒歩で被災現場まで行くことが考えられる。近隣の皆さまと連携し、災害時にも速やかに行動するために必要な訓練を行っていきたい」と話した。