男性育休、問われる意識 奄美市職員は取得率向上 きょう改正法施行

2022年10月01日

社会・経済 

休日に子どもと遊ぶ父親=9月25日、奄美市名瀬

男性の育児休業(育休)を促す目的で改正した育児・介護休業法と地方公務員育児休業法が1日施行された。これに伴い、厚生労働省は民間企業に就業規則見直しを呼び掛け、各自治体も条例を改正している。奄美市は2021年度策定した行動計画に基づく取り組みで、前年度0%だった男性職員の育休取得率を21年度30%に上昇させた。仕事と家庭の両立へ社会全体の意識が問われている。

 

育休は子どもが(原則として)1歳になるまでに長期休業できる制度。休業中は給与の5~7割に当たる手当金が国から支給される。法改正前、男性が取得できる育児休業は妻の産後8週間=産前産後休業(産休)期間=とそれ以降の1回ずつだった。

 

1日施行の改正育児・介護休業法は、育休と別枠で「産後パパ育休」(出生時育児休業)を創設。男性が妻の産休期間に最大4週間(2分割可能)取得できる制度で、産休期間後の育休も2分割可能にした。改正地方公務員育児休業法も男性育休について、産休期間とそれ以降に2回ずつ取得できるよう緩和した。

 

育休に関する法改正は段階的に進められている。育児・介護休業法は今年4月、育休申請の円滑化を図る環境整備や個別の(育休取得)意向確認などを事業主に義務化。併せて「雇用されて1年以上」という育休取得要件を廃止した。

 

厚労省によると、21年度の男性育休取得率は過去最高の13・97%。9年連続で上昇しているが、政府が掲げる目標「25年度までに取得率30%」はまだ遠い。総務省によると、全国地方公共団体の男性育休取得率も13・2%(20年度)と低調だ。

 

正規職員615人(うち男性416人)を雇用する奄美市は20年度までの過去5年間、男性職員の育休取得率が19年度5・3%を除いて0%。職員調査の結果、取得しなかった理由は「職場に迷惑」「事務が繁忙」「制度をよく知らない」などが目立った。

 

市はこうした現状と対策をまとめた「特定事業主行動計画(後期)」を21年度に策定。職場の雰囲気づくりや制度周知、業務調整などにより、21年度の男性育休取得率は30%(対象20人中6人、取得日数最長70日)に上昇した。

 

数年前に子どもが生まれた同市のある男性職員は当時、仕事の繁忙期と重なり育休取得を断念。有給休暇を積極活用し家族との時間をつくってきた。「上司は育児のことを理解し、気に掛けてくれる。また機会があれば(育休を)前向きに検討したい」と話した。

 

一方、職場に理解がないケースも多い。同市内に勤務する会社員の男性は2カ月以上の育休取得を上司に打診した際、まともに取り合ってもらえず「そんなの(2カ月以上は)無理」とも言われた。「不毛だと思い諦めた。世代間の意識差が大きい」と語った。

 

男性育休の定着へ向けては事業主、労働者双方の理解が不可欠であり、厚労省は各都道府県労働局を通じて説明会を開くなどしている。育児・介護休業法に関する県内の相談は電話099(223)8239鹿児島労働局雇用・環境均等室へ。