総搬入量39万4千トン 平均糖度は全社前年下回る 奄美群島24年産キビ
2025年05月06日
社会・経済
奄美群島の大型製糖工場5社の2024~25年期(24年産)の製糖が4月30日までに終了した。原料サトウキビの総搬入量(速報値)は前期比2万2642トン(6.1%)増の39万4224トン。生和糖業(喜界島)と富国製糖(奄美大島)が減収となった一方、南西糖業(徳之島)、南栄糖業(沖永良部島)、与論島製糖の3社は増収となり、群島の南北で明暗が分かれた。生育は順調だったが登熟が進まない気象条件の影響もあり、平均甘しゃ糖度は全5社で前期を下回った。
南栄糖業は昨年9~11月の降水量が増えたことなどを要因に生育が進み、原料搬入量は10万トンの大台に乗った。平均糖度は16度を超えた前期から下落したものの、14度台を維持した。沖永良部さとうきび生産対策本部は「収量が増え、生産者の収入も増えたと思う。来期に向け、干ばつ期の水掛けを呼び掛けていく」と話した。
与論島製糖は昨年11月の記録的な大雨による施設の浸水被害を乗り越え、同12月16日に製糖開始。原料の増収で2年ぶりに2万トン台を回復したが、平均糖度は前期を大きく下回った。担当者は「農家には早期の春植え完了と管理作業に努めていただき、増収につなげてほしい」と呼び掛けた。
南西糖業は登熟期(9~11月)の降水量の多さと気温の影響で登熟が進まず、平均糖度は平年並み。搬入量は群島5社で最大となる17万1444トンだった。担当者は「生育に好条件が整い、平年よりややよい生育状況だった」と分析した。
生和糖業は昨年8月の台風被害で搬入量が減少したが、今冬の寒さで平均糖度は15度台と高品質を維持した。糖蜜を回収する輸送船が故障した影響で15日間操業を停止したため、製糖終了が当初計画から1カ月遅れた。担当者は「次年産対策として操業停止期間に株出し管理や春植えを推進しており、来期の収量に期待したい」とした。
富国製糖は搬入量が微減。3年連続で15度以上だった平均糖度は2017年産(13.68度)以来、7年ぶりに13度台と低迷した。担当者は「昨秋の暑さで登熟が進まず、年明け以降も回復しなかった。来期に向け早期の株出し管理で単収アップにつなげてほしい」と述べた。
平均甘しゃ糖度の各社実績は▽生和糖業15.66度(前期比0.56度減)▽富国製糖13.92度(同1.59度減)▽南西糖業13.86度(同1.39度減)▽南栄糖業14.55度(同1.89度減)与論島製糖13.44度(同2.09度減)だった。