船舶関係者に注意喚起 知床沖の観光船事故受け 奄美海保など

2022年05月23日

社会・経済 

 北海道の知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船が沈没した事故から、23日で1カ月が経過した。今回の事故を受け、国内ではこれまでに関係機関が観光事業者や船舶会社を対象に緊急安全点検を実施している。奄美群島でも4月末から5月上旬にかけて、奄美海上保安部などが船舶関係者に注意を喚起。同保安部交通課は「改めて安全管理規程などの基本を確認し、訪れた観光客にいい思い出を残せるよう努めてもらいたい」と事業者に呼び掛けた。

 

同海保は4月29日、管内で小型旅客船を運航する事業者7社に、古仁屋海上保安署はゴールデンウイーク前の同月26日に管内の旅客事業者1社を対象に注意喚起を実施。▽安全管理規程の順守▽事前の気象の把握▽救命胴衣の着用指示▽緊急時の乗客への避難誘導―などを呼び掛け、啓発リーフレットを配布した。

 

九州運輸局鹿児島支局によると、県内の旅客船事業者は34社。うち奄美群島の事業者は14社で、10日、11日の2日間に8社の安全確認を行った。

 

奄美海保の統計によると、奄美群島内で2017年以降の5年間に発生した船舶事故は17年11隻、18年15隻、19年10隻、20年同、21年9隻の計55隻。船種別では漁船が約半数の27隻を占め、次いでプレジャーボート18隻、貨物船5隻だった。

 

事故内容で多かったのは乗り揚げが22隻、運航不能18隻、衝突6隻など。原因別では操船不適切10隻、見張り不十分8隻、居眠り運航6隻、船体機器整備不良5隻などとなっている。

 

知床沖で発生した事故では、出航前の気象状況など判断の誤りや、無線設備の不備などが明らかになっている。