運転免許返納者は363人 前年比21人減、「補償運転」も推奨 奄美群島

2022年10月03日

社会・経済 

県内でも高齢運転者の交通事故防止が課題になっている(資料写真)

奄美群島内で2021年に運転免許を自主返納した人は363人だったことが群島内4署のまとめで分かった。前年の384人に比べ21人減少。22年上半期(1~6月)では132人が返納しており、9割以上が65歳以上の高齢者。21年の返納者数が221人と、4署のうちで最も多かった奄美署は「自分の運転に不安を感じたら、一つの手段として免許返納を検討してほしい」と呼び掛けている。

 

県内では昨年、65歳以上の高齢者が「第一当事者」の交通死亡事故が全体の約4割を占める19件発生。今年は群島内でも、徳之島町亀徳で7月に同町母間の80代男性が運転する自動車が小学生をはねる痛ましい事故が発生したほか、6月には奄美市住用町で原付バイクの60代男性が単独事故で亡くなった。

 

一方、一部の高齢運転者からは「自主返納するか迷っている」「運転免許は自分の権利」「家族から勧められるが踏ん切りがつかない」などといった声が挙がっている。日常生活での移動手段として、自動車が手放せないといった声も多い。

 

こうした声を受け同署は、高齢者の交通事故防止対策として、免許返納に踏み切れない高齢者らに対し「補償運転」を推奨。▽穏やかに、ペースを守る▽夜間の運転を控える▽通いなれた道を走る―など、より安全な運転をするため、時間と場所を選び、加齢に伴う運転能力の低下を補う運転方法を普及啓発している。

 

このほかサポートカーの体験教室の開催やドライブレコーダーの無料貸し出しを実施。認知症を理由に自主返納した高齢者が希望した場合には、生活支援を受けられるよう自治体との連携体制も整えている。

 

免許を返納した高齢者については、運転免許自主返納カードや、県公安委員会が発行する有料の運転免許経歴証明書を申請し発行を受けると、バスやタクシー会社などの公共交通機関や商店など、協賛する事業所の料金割引を受けられる支援制度もある。

 

同署の末永健太交通課長は「免許返納後の支援策も充実している。気になることがあれば、気軽に相談してほしい」と話した。