飼い犬の感染症に注意 レプトスピラ症確認 奄美大島

2022年09月26日

社会・経済 

レプトスピラ症の感染予防のためワクチン接種を受ける飼い犬=16日、奄美市名瀬

奄美大島で今年夏以降、飼い犬のレプトスピラ症への感染の確認が相次いでいる。島内ではクマネズミやリュウキュウイノシシなど野生生物の感染が確認されており、尿に汚染された川の水や土壌から人や犬に感染する恐れがある。診察したゆいの島動物病院(奄美市名瀬)の獣医師は、狩猟で捕獲したイノシシに素手で触らないことや、飼い犬にワクチンを接種して感染を予防することなどを呼び掛けている。

 

レプトスピラ症は、人と動物の間で相互に感染する人獣共通感染症。人や犬が感染すると風邪や腎障害、黄疸(おうだん)などの症状を引き起こし、重症化すると死亡することもある。熱帯・亜熱帯など暖かい場所で病原菌が増殖しやすく、国内では沖縄で人の感染の報告が多い。

 

ゆいの島動物病院では7月以降、発熱や黄疸、食欲不振などレプトスピラ症の症状がある飼い犬の診察が増加し、これまでに3匹の感染を確認した。

 

同病院では19年にも飼い犬への感染が確認されている。国立感染症研究所と共同で島内の野生生物の感染状況を調査した結果、クマネズミやイノシシなどのほか、保護されたアマミノクロウサギが死んだ後、レプトスピラ症への感染が分かったこともある。

 

同病院の佐藤花帆獣医師(29)は「自然が近い奄美大島では、野生生物から感染するリスクが高い」と指摘。感染予防のため、「飼い犬にワクチンを接種して、野生生物が生息している河川やけもの道には近づけないで」と注意喚起した。

 

飼い犬のワクチン接種のため来院した奄美市名瀬の松尾憲幸さん(55)は「自然が多い中で散歩させているので心配。定期的にワクチンを打つようにしたい」と話した。