大型台風、早く去って 日中から避難多数 奄美群島
2022年09月18日
自然・気象
台風14号が接近した奄美地方では17日、日中の早い時間帯から住民らが各地の公民館や集会所などへ身を寄せた。奄美大島と喜界島、徳之島の自治体は、新型コロナウイルスの自宅療養患者専用の避難所を開設したり密集を防ぐため距離を取ってマットを設置したりするなど、コロナ対策などにも配慮。住民らは「何事もなく過ぎ去りますように」と祈りながら台風に備えた。
台風14号の進路に最も近い喜界島は全域が激しい風雨に見舞われた。喜界町は災害警戒本部を設置。午後6時現在で災害発生などの情報は寄せられていないが、台風の動きが遅く18日未明に最接近することから、避難した住民からは影響の長期化を不安視する声も聞かれた。
妻と息子の3人で町役場に避難した盛喜八郎さん(85)=赤連=は「大型で猛烈な勢力ということもあり早めに避難した。これから最接近なので影響が長引きそう。自宅が古く、暴風が心配だ」と話した。
避難所には島外から訪れた人の姿も。島内に15日から滞在しているという鹿児島市在住の30代女性は「台風は奄美の次に鹿児島に向かう予報。仕事の都合で早く帰りたいが、飛行機の運航再開は時間がかかりそうだ」と肩を落とした。
龍郷町は29カ所の避難所を開設し、それぞれに職員を2人以上配置。町体育文化センターりゅうゆう館に避難していた前島みどりさん(63)=屋入=は、「周りに心配を掛けないためにも避難を決めた。(強い勢力で北上するので)鹿屋市に住む子どものことも気掛かり」と不安を口にした。
奄美市名瀬の奄美高校体育館には午後8時までに8世帯9人が身を寄せ、常駐する市職員4人が検温や消毒などの感染症対策に取り組んでいた。担当者は「早い方は午後1時すぎごろから近隣の高齢者を中心に避難している。台風が早く通り過ぎてくれればいいが」と話した。
台風接近に伴い、隣接する県立奄美図書館は同日午前11時に閉館し、19日午前9時までの臨時休館を決めた。
天城町は町防災センターに避難所を設置。ホールには簡易ベッドや横になるためのマットが敷き詰められ、避難者同士の距離を2㍍以上確保するなど、コロナ対策に工夫した。
同町浅間から避難した女性(79)は「大きな台風の場合は自主避難すると決めているので今回も早めにセンターに来た。友達と話して過ごせるので、不安を抱えながら家にこもっているよりは避難所の方がよほど気が楽だ」と話した。