奄美地方に線状降水帯 大島中南部で豪雨 大和村で1時間106ミリ

2023年06月21日

自然・気象

豪雨で、河川の一部で氾濫が確認された宇検村芦検の大良川=20日午後7時ごろ(提供写真)

奄美地方は20日、活発な梅雨前線の影響で北部を中心に大雨となった。奄美大島周辺では島の北西から南東にかけて、局地的な豪雨をもたらす「線状降水帯」が発生。県の雨量計によると、大和村の大金久と今里で1時間に100ミリを超える猛烈な雨が降った。宇検村役場では床上浸水被害が発生。午後10時までに、島内各地から土砂崩れや道路の通行止め、浸水被害などの情報が寄せられているが、夜間のため全容は確認できていない。

 

大和村は全地区に避難所を開設。午後7時半、大棚から今里にかけての451世帯706人に避難指示が出され、5カ所に20人が身を寄せた。午後10時現在、戸円―名音、今里―志戸勘の県道で冠水や土砂流入による通行止めが発生している。また、今里地区で1棟が床上浸水という。

 

側溝から水があふれ、廊下などが一部浸水した宇検村役場=20日午後7時ごろ(提供写真)

宇検村は村全域に避難指示を発令し、午後8時までに55人が避難。午後10時現在、芦検地区の大良川と田検地区の轟川の一部が氾濫、芦検地区の2カ所で土砂崩れが発生し、今里―宇検の県道が土砂崩れで通行止めとなっている。同村石良地区で3棟が床下浸水のほか、村役場の1階も浸水した。

 

瀬戸内町は町内全域に高齢者避難指示を出した。午後10時現在、蘇刈地区で3世帯6人が避難している。役場周辺や嘉鉄地区などで道路の冠水が発生した。

 

奄美市住用町では午後8時までに、西仲間で道路が人の膝辺りまで冠水し、役勝―西仲間が全面通行止めとなった。奄美市によると午後10時現在、4カ所に22人が避難。周辺道路の冠水により、住用小中に足止めされた車両約20台が待機している。けが人の情報はないという。

 

県と鹿児島地方気象台は20日、大和村、宇検村、瀬戸内町、奄美市に、警戒レベル4に相当する土砂災害警戒情報を発表した。県が設置した雨量計によると、1時間雨量は大和村大金久で午後6時20分までに106ミリ、同村今里で午後6時50分までに102ミリを観測した。

 

名瀬測候所によると、奄美地方では21日夕方にかけても局地的に雷を伴った非常に激しい雨が降る恐れがある。21日に予想される1時間降水量は、北部、南部ともに多いところで30ミリ、同日午後6時までに予想される24時間降水量は、いずれも多いところで北部200ミリ、南部80ミリ。同測候所は土砂災害と河川の増水や氾濫、低い土地の浸水に厳重警戒を呼び掛けている。