暴風雨、全域で停電 食料・物資の蓄え懸念も 沖永良部・与論 台風6号

2023年08月03日

自然・気象

台風接近に伴う突風で変形した農業用ビニールハウスの骨組=2日、与論町(町提供)

台風6号の暴風域に入った沖永良部、与論両島は2日、ほぼ全域で停電が発生。終日暴風雨が吹き荒れ、各事業所、商店、宿泊施設、病院などは対応に追われた。7月末から定期船の欠航が続いており、食料や物資の不足を懸念する声も出ている。

 

□沖永良部島□

 

沖永良部島では、道路に風で飛んできた木の枝や葉、壊れた家屋の一部などが散乱し、停電で信号が消灯している交差点もあった。商店やスーパーは客、従業員の安全確保や停電などを理由に多くが臨時休業。停電で外来診療を休診した病院もあった。

 

停電の中、営業していた知名町のアイショップ沖永良部店には多くの客がひっきりなしに食料品の買い出しに訪れていた。同店の山田美江子さん(69)は「停電がよっぽど長引かない限りは、利用客のため商売のために店を開けるようにしている。ただ、このまま停電が続けば冷蔵庫も使えず、あすの仕込みもできない。3日の営業をどうするかは考えたい」と話した。

 

和泊、知名、与論3町各役場によると、各集落の公民館などで1日から避難所が開設され、3町で計157人が避難し、宿泊した。和泊町国頭の避難所に1日から避難している川間佳俊さん(85)は「1人暮らしで、万一のとき、若い人には迷惑を掛けられないと思い、避難の呼び掛けに応じた。今日まで泊まる予定」と話した。

 

□与論島□

 

Aコープ与論店は従業員の安全確保のため、営業時間を通常より1時間遅らせ開店。林浩太郎店長は「生鮮食品を中心に在庫が少なくなっている。島の方は慣れており、落ち着いた様子だが、閉じ込められてしまった観光客が朝、夕訪れ、弁当や飲料水などを購入している。台風の進路が変わり、影響が長引きそうだ」と不安をのぞかせた。

 

ある宿泊施設では町内全域の避難指示発表を受け、1日夕方から2日正午すぎにかけ、スタッフと宿泊客が茶花小学校体育館へ避難した。同宿泊施設のフロント担当者は「延泊客も多く、またこの先のキャンセルも発生している。食材や物資の蓄えも少なくなってきており、この先が心配だ」と話した。