新種の水生昆虫アマミヨコミゾドロムシ発見/上手さん(岐阜)

奄美大島で見つかった新種の水生昆虫「アマミヨコミゾドロムシ」(提供写真)

奄美大島で見つかった新種の水生昆虫「アマミヨコミゾドロムシ」(提供写真)

 奄美大島の河川で、水生昆虫のヨコミゾドロムシ属の新種が見つかった。岐阜県岐阜市の公務員上手雄貴さん(39)が発見し、「アマミヨコミゾドロムシ」と名付けて、先月25日発行の日本甲虫学会誌に論文を発表した。

 

 ヨコミゾドロムシ属はヒメドロムシ科の水生昆虫。国内ではこれまで本州、四国、九州にヨコミゾドロムシの1種のみ分布し、平野部の河川や水草の多いため池などに生息。水質の悪化や河川改修などによって減少し、環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に位置付けられている。琉球列島では今回が同属の初記録となる。

 

 上手さんは2017年3月中旬、龍郷町内の川で、水草の根元にいた成虫の雌雄合わせて32匹を採集し、形態の違いから新種と確認。愛媛大学農学部環境昆虫学研究室の吉富博之准教授、ホシザキグリーン財団の林成多研究員と共同で論文を執筆した。

 

 アマミヨコミゾドロムシは体長2・23~2・62㍉。全身が黒色。ヨコミゾドロムシより小型で、脚が赤みを帯びることや、頭部の呼吸器の大きさなどのほか、特に雄の生殖器の形状が異なる。大きな河川にも生息するヨコミゾドロムシに対して、沢の浅瀬のみで確認されるなど生息環境も違うという。

 

 論文では、新種の形態が国内や韓国、台湾に分布する同属とは異なり、遠く離れた中国南部の種に近いとして、奄美大島と周辺離島だけに生息するアマミノクロウサギやルリカケスと同じく、島が大陸から分離後、周辺陸地で近縁種が絶滅した「遺存固有種ではないか」と考察している。

 

 上手さんは学生時代から水生昆虫を研究。現在は仕事の傍ら、休暇中に妻の奈美さん(41)を助手に全国の離島を巡って昆虫採集を続けている。奄美大島には大学院生時代から通い始めた。新種の学名には、長年親交があり、新種の発見時も案内役を務めたNPO法人奄美野鳥の会会長の鳥飼久裕さんの名を付けた。

 

 上手さんは「この仲間はよく似ていることが多いが、今回は採った瞬間に新種と分かった。言葉にできないほどうれしかった」と発見時の喜びを語り、「遺存固有種は地史の考察に重要。なかなか日の当たることがない小さな生き物だが、世界自然遺産登録が迫る中、新種の発見が奄美の価値を示す一端を担えればうれしい」と話した。

発見した上手雄貴さん

発見した上手雄貴さん