支え合い、生きる社会に 障がいある娘の写真集通し講演 島旅作家の河田さん

2018年02月15日

子ども・教育

 

城ケ丘中学校で講演する河田真智子さん=14日、和泊町

城ケ丘中学校で講演する河田さん=14日、和泊町

 島旅作家・写真家の河田真智子さん(66)=東京都=の講演が14日、和泊町の城ケ丘中学校(西盛治校長)であった。河田さんは重い脳障がいのある娘、夏帆さん(30)のありのままの姿を記録した写真集をスライドで紹介しつつ、命の尊さや支え合って生きることの大切さを伝えた。

 

 夏帆さんは仮死状態で生まれ、「点頭てんかん」と診断され、現在も重い身体、知的障がいがある。河田さんは「娘の生きた証を残そう」と2013年に写真集「生きる喜び」を自費出版した。

 

 16年に神奈川県相模原市の障がい者施設で入所者19人が刺殺された事件を受け、「ショックを受けた」という河田さん。人それぞれ個性があって助け合ったり、励まし合ったりして生きていく社会のあり様を、「自分ができることで伝えたい」と考え、昨年写真集を増刷。「なつほミッション」と銘打って基金を募集し、未来の看護師や中高大学生らに届ける活動を行っている。

 

 講演では「娘を支えて生きていたつもりが実は娘に支えられていた。生きる喜びとは、誰かのために存在することなのだと思う」と強調した河田さん。「障がい児を育てていることがつらいのではなく、そのことにより自分が他から孤立していた時がつらかった。自分で頑張るのも大切だが、つらい時は誰かに相談して助けてもらうことも大事」と呼び掛けた。

 

 聴講した2年生の武田心さん(14)は「講演を聞いて河田さんはとてもすてきな人だなと思った。命について考えるきっかけをもらった」と話した。

 

 河田さんは13日に和泊中でも講演。基金を活用し、事前に両校の全生徒へ計200部、同写真集を届けた。