島内外の人的資源活用を 先進地報告、奄美への提言も 持続可能な観光セミナー

オンラインで開催された「持続可能な観光セミナーⅢ」最終回=19日

オンラインで開催された「持続可能な観光セミナーⅢ」最終回=19日

 持続可能な観光セミナーⅢは19日、ウェブ会議システムを利用してオンラインであった。有識者4人がパラオ共和国、沖縄、八重山諸島の持続可能な観光の取り組みと、奄美への提言をテーマにそれぞれ講演。島内外の奄美関係人口を資源とした交流振興や情報発信などの重要性を強調。地域一体となった国際基準による持続可能な観光地づくりを提言した。

 

 奄美の自然を守る会、奄美せとうち観光協会、日本観光研究学会「SDGsと観光研究分科会」が主催し最終4回目。4人の講演後に参加者との質疑応答もあった。

 

 琉球大学の宮国薫子准教授はパラオの先進的な環境政策を紹介。「小島しょ国でありながら、自国の置かれた立場と強みや弱みを踏まえ、多くのステイクホルダー(利害関係者)とビジョンを共有し、SDGs(持続可能な開発目標)に積極的にかつ素早く行動を起こしている」と評価した。

 

 日本交通公社の中島泰上席主任研究員は沖縄の事例から、持続可能な観光地の要件として▽地域を支える経済▽地域住民の安心できる暮らし▽地域の宝(自然・文化)▽観光客が満足できる体験│の「四方よし」を挙げた。WWWサンゴ礁保護研究センターの小林俊介センター長は石垣島白保地区のサンゴ礁保全活動を取り上げ、人、産業、組織づくりについて解説した。

 

 中村学園大学の前嶋了二准教授は新型コロナウイルス感染拡大が観光に与えた負の影響を示した一方、「リモートワークの定着やワーケーションの希望者増など、新たなライフスタイルや価値観を生み出し、地方移住への関心を高めている」と指摘。

 

 奄美からの転出者や奄美に関心を持つ人など「関係人口」の拡大と活用、「四方よし」や地域の「健康診断」などを進めることで、住民、観光事業者が一体となった国際基準による持続可能な観光地を目指すことを提言した。

 

 セミナー後にあいさつした日本観光研究学会の二神真美名城大学教授は「地域が主体となってこれからどう展開し、効果のあるものにしていくのか、現場からのセミナーが開催できたことは、われわれにとってありがたいことだった。ここで終わらせるのではなく、今後も取り組んでいる地域で大きなコミュニティーをつくり、学び合っていく場を多数開催していきたい」と述べた。

 セミナーには、島内外や奄美大島の会場から多数のオンライン参加があった。