龍郷町・半川遺跡から1万1千年前の遺物

2020年01月11日

地域

2018年の発掘調査などの説明をする高宮教授

2018年の発掘調査などの説明をする高宮教授

 鹿児島大学国際島嶼(とうしょ)教育研究センターの高宮広土教授(60)は10日、龍郷町赤尾木の半川(ハンゴー)遺跡付近で2018年に出土したシイなどの一種とみられる堅果類の植物遺体が約1万1千年前の遺物だとする年代測定結果を発表した。植物遺体が出土した同じ層から土器片も見つかっており、高宮教授は「今回の結果から半川遺跡の年代は1万1千年前と追証できると考えられる」との見方を示した。

 

調査で出土した土器片(提供写真)

調査で出土した土器片(提供写真)

 高宮教授が同日、同町役場で竹田泰典町長に報告した。半川遺跡はこれまでの調査で、年代は4千~6千年前と考えられていた。

 

 高宮教授は今回の調査結果を踏まえた詳細な報告書を21年以降にまとめるとした。同遺跡の年代が約1万1千年前とすれば、今回出土した土器は奄美大島~先島諸島の開地遺跡の土器として天城町の下原遺跡の1万3千~1万4千年前の遺物に次ぎ、2番目に古いとみられるという。

 

 今回は18年11月に同遺跡に近い県道沿いの標高約15㍍の地点を調査。地表から約80センチ掘った層に植物遺体と土器などが見つかった。土器は▽爪形文▽押引文と沈線文の組み合わせ―の2種類とみて、分析中だ。

 

 高宮教授は「土器は琉球列島の開地遺跡の最古級の土器として検証を進めたい」と話した。

 

 半川遺跡は04年から05年にかけて、龍郷町や奄美考古学研究会、大島北高校郷土クラブが調査し、竪穴式住居跡や土器、石器に加え、調理後とみられる炭化したドングリ(堅果類)が出土している。そのうち完形で見つかったシイ属の実2点についても約1万1千年前の遺物ということが分かっている。