自治体間の情報共有を 有事に備え島外避難の在り方協議 国民保護連絡調整協議会 奄美大島5市町村

2025年05月13日

地域

有事の際の住民避難について島内自治体の首長らが意見を交わした奄美大島国民保護連絡調整協議会=12日、奄美市名瀬

奄美大島5市町村でつくる「奄美大島国民保護連絡調整協議会」(会長・鎌田愛人瀬戸内町長)の総会が12日、奄美市名瀬の奄美市役所であった。各首長と防災担当課職員らが出席し、2025年度の事業計画を確認。他国からの武力攻撃や大規模テロなどの有事に備え、住民搬送の方法や関係業者の選出などについて協議した。出席者からは「空港、港までの移動もあり、自治体間の情報共有が重要になる」「県本土の親族宅に身を寄せる場合も想定され、誰がどうやって避難するのかの把握も必要になる」といった意見があった。

 

同協議会は、有事を想定して住民の避難措置などを決めておく「国民保護計画」に関連した地元の体制整備を目的とし、25年3月に発足。県の避難実施要領に基づき、26年度末までに5市町村合同の避難実施要領の策定を目指す。

 

25年度は主に自治体ごとのデータ収集や実施要領素案作成に取り組み、年度末までに各市町村の避難実施要領作成を予定。総会では医療、宿泊、物流・交通など島民の避難に関わる民間業者の選出案が示され、事務局は「来年2月の県の国民保護訓練も見据えつつ、なるべく早い段階で官民合同のミーティングを行いたい」とした。

 

国は南西諸島周辺で有事が発生した際、沖縄県全域と奄美群島の住民を島外へ避難させるとしており、県は航路・航空路を最大限に用いて群島南部から避難を開始する計画。県は奄美大島5市町村の約6万人の避難完了までに14日かかると想定している。

 

協議会では住民における避難時の不公平感と混乱を避けるため、子どもや要配慮者といった優先搬送者を想定した自治体ごとの搬送人数の割り当て方法について意見交換。まずは5市町村全体で避難者の優先順位に基づき搬送日と人数を決めた上で、自治体ごとの搬送数を算出することに同意した。

 

 

有事の際の住民避難について島内自治体の首長らが意見を交わした奄美大島国民保護連絡調整協議会=12日、奄美市名瀬