「ハブがハブ食っとる」 ナイトツアー中のガイドが発見 瀬戸内町

2025年05月09日

地域

別のハブ(中央手前)を頭から飲み込もうとするハブ=3日夜、瀬戸内町(香山武照さん撮影)

「ハブがハブ食っとる」―。毒蛇ハブが別のハブを頭から飲み込もうとしている姿が3日夜、瀬戸内町の林道で目撃された。同町でゲストハウスを営む奄美群島認定エコツアーガイドの香山武照さん(57)が、島外からの観光客2人を案内中に発見。ガイド歴約20年の香山さんは「ハブを捕る人から箱の中で共食いしていたという話は聞いたことがあるが、実際に見たのは初めて。東京から来たお客さんも、大型のハブと共食いのダブルパンチで凍り付いた様子だった」と話した。

 

香山さんはこの日、ナイトツアーで宿泊客2人を連れて車で林道へ。すると、道の真ん中で、目測で全長約180センチの大型のハブが口に何かをくわえていた。

 

ハブがカエルやネズミなどを食べることを説明していたが、ハブが全く動こうとしないため、香山さんだけが車から降りて近づいたところ、くわえられていたのは同じ模様のハブだった。ハブはその後、別のハブをくわえたまま山の斜面に移動した。

 

1980年から約40年間、奄美大島でハブの研究をした農学博士の服部正策さん(71)=島根県=によると、ハブの胃の内容物にハブがあったとする研究報告はある。服部さんが研究施設で飼育していたハブに、餌のハツカネズミを与えたところ、奪い合いの末に別のハブを飲み込もうとした姿は見たことがあるが、ほとんどの場合、飲み込まれそうになったハブの方が大暴れして吐き出されたという。

 

ただ服部さんも自然界でハブがハブを飲み込もうとする事例は見たことがなく、「大きな獲物を飲み込むと、胃に収まるまでの間は呼吸ができない時間があり、心臓も圧迫される。大物を飲み込むのは命懸け。死骸を食べていたとしても不思議」と話した。