奄美大島いきものがたり
2025年05月09日
社会・経済
夏羽はオレンジ色 アマサギ

アマサギ(夏羽)
今年の春は珍しい渡り鳥の渡来情報が多い。年によって渡り鳥の種類や数は大きく異なる。それが渡り鳥の時期にフィールドへ繰り出す理由でもある。
先日、島北部の農耕地を訪れた。私が期待していた渡り鳥は見られなかったが、土を耕している耕運機の後ろをついていく100羽ほどのアマサギ(旅鳥)を発見した。農耕地ではよく見かける光景だ。耕運機によって掘り返される土の中から飛び出すエサを狙っているのだろう。何度かエサを捕らえたアマサギが観察できたのだが、それらはバッタの仲間やリュウキュウカジカガエルをくわえていた。短い時間の観察ではあったものの、耕運機の真後ろをキープしている個体が多くのエサを確保できているようにも見えた。
サギの群れにも序列があるのだろうかと思いながら、楽しい時間を過ごすことができた。アマサギは一般にシラサギといわれるサギ科の一種であるが、夏羽は体の一部がオレンジ色になるため、他の種類との識別が容易である。
時間帯で色が変わる ノアサガオ

花の色が異なるノアサガオ
私が小学生のとき、アサガオの仲間を栽培したことをよく覚えている。子どものときからなじみのある植物なので、何となく園芸植物かと思っていたが、奄美大島にも海岸や集落、山地の周辺などに自生している。ノアサガオの仲間としては、海岸などに生えるグンバイヒルガオは特によく知られている。
ノアサガオは花の開き始めは青紫色であるが、午後から夕方にかけて次第に赤みが強くなり、ピンク色になってくる。これは花の色素であるアントシアンが関わっており、表皮細胞の液胞内のpHが変化することで色合いも変わるそうだ。夕方に花が閉じて翌日に開花するとまた青紫色であることから、「明日もさわやかに」という花言葉も設定されているそう。
午前中だけ開花するもの、晴れた日だけに開花するもの、時間帯によって花の色が変わるものもある。そういった生態を知りながら観察・撮影を続けていく性格なので、いつまでも興味・関心は尽きない。
(奄美博物館)