ソテツ被害 徐々に拡大 喜界島、3集落で計22本 害虫カイガラムシ

2025年05月16日

政治・行政

喜界島で見つかったソテツシロカイガラムシ被害を受けたソテツ=喜界町役場提供

2022年秋に奄美大島で初確認された、ソテツに被害を及ぼす外来種「ソテツシロカイガラムシ」(通称CAS)。喜界島では今年1月31日に初めて確認されて以降、被害を受けたソテツの数が徐々に増えている。喜界町によると、14日現在、湾、赤連、中里の3集落で合計22本を確認。さらなる被害拡大を食い止めようと町は職員が定期的にパトロールするなど警戒を強め、町民にも情報提供などの協力を呼び掛けている。

 

カイガラムシは植物に付着して幹や枝、葉の汁を吸って弱らせる害虫。被害が進むと葉が黄白色になり、やがて枯れる。奄美大島では被害が5市町村すべてに拡大。24年11月には瀬戸内町加計呂麻島でも初確認された。各島への侵入経路は不明。

 

喜界町でのCASによるソテツ被害は1月31日に赤連で9本、3月12日に中里で10本、湾で2本それぞれ確認。その後はしばらく見つかっていなかったが、4月21日新たに湾の私有地で1本を確認した。

 

町農業振興課によると、被害木への対応として、被害が初期段階なら葉を切り落として薬剤を2週間おきに3回散布。カイガラムシがソテツ全体に付着するなど被害末期の場合、伐採して葉と幹部分は焼却。根に薬剤を散布する。私有地の場合は所有者や管理者から同意を得て対応している。

 

CAS初確認後、町ではチラシを町内全戸に配布し、被害の特徴や防除方法などを周知。個人で防除する場合、切った葉をごみ袋に入れて密封し、集落のごみステーションではなく、クリーンセンターへ直接持ち込むよう求めている。

 

同課は「個人で防除する場合も、被害把握や周辺調査のため、見つけたらまずは町に連絡を」としている。

 

喜界島ではクロマダラソテツシジミや潮風害によるソテツ被害も見られる。カイガラムシ被害は葉の裏面や付け根に、白色のカイガラムシが多数付着しているのが特徴。被害が大きくなると、葉が黄白色になり枯れる。

葉に白色のカイガラムシが多数付着している=喜界町役場提供