「奄美は国内最大の越冬地」 与名さん サシバの生態紹介 県立奄美図書館
2023年01月16日
県立奄美図書館の生涯学習講座「あまみならでは学舎」が14日、奄美市名瀬の同図書館であった。2022年度の最終回。市民ら約60人が聴講した。野鳥写真家の与名正三さん(71)が講話し、渡り鳥のサシバの生態を本土や奄美で撮影した写真を交えて紹介。「奄美大島は国内最大の越冬地」と強調し、環境保全の大切さを訴えた。
サシバはタカの仲間で体長約50㌢。「ピックイー」と甲高い声で鳴く。東北から九州地方で繁殖し、秋ごろに南下して南西諸島や東南アジアなどで越冬する。環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類。
与名さんは宇検村生勝出身。サシバが渡来する秋から春ごろにかけて奄美大島に住み、保護活動に取り組んでいる。サシバ愛護会関西~奄美ネットワーク代表。
講話では、里山に生息するサシバは「人の暮らしと密接に関係している大切な鳥」と強調。高齢化による耕作放棄地の増加や除草剤などの影響で、餌になる虫やヘビ、カエルなどが減少し、生息数が「急激に減っている」と警鐘を鳴らした。
奄美大島では2021年に島内外の自然保護団体などと行った調査で、飛来数が約2千羽と推定されることが分かった。「身近な場所でサシバのいる風景が見られることが奄美の特徴」と魅力を語り、「(生態など)研究者もほとんど分かっていない。たくさん調べることがある」と力を込めた。