クロウサギの貴重映像撮影 あったか兎毛で子育て 奄美市の写真家浜田さん

2022年12月01日

体の毛をむしるアマミノクロウサギ(左)。毛をくわえて巣穴の中へ運んだ=11月6日午後9時すぎ、奄美大島(浜田太さん撮影、画像は一部加工)

奄美市名瀬の写真家・浜田太さん(69)は11月、奄美大島の山中で、国の特別天然記念物アマミノクロウサギが体の毛をむしり、巣穴に運び入れる珍しい行動の撮影に成功した。直後に巣穴の中で出産したとみられ、浜田さんは「体毛を敷き詰め、寒さからわが子を守るためでは」と話した。

浜田さんはクロウサギの子育ての様子を記録するため、山中の巣穴の近くに自動撮影カメラを設置して映像を記録した。11月6日午後8時ごろ、クロウサギは落ち葉を集めて巣穴に運ぶ行動を繰り返した。午後9時すぎから14分間にわたり、巣穴の前で全身の毛をむしり、穴の中に運んだ。

その後は穴の中に入って出産したとみられ、入り口を丁寧に土で埋め固めて巣穴を後にした。12日後の18日には子ウサギが穴から顔を出し、母ウサギが授乳する様子を確認。浜田さんによると現在も子育てが続いており、12月中旬ごろに巣立つとみられる。

浜田さんは36年にわたってクロウサギの撮影を続け、生態を記録してきた。新たに子育てに関する貴重な映像を収め、「厳しい環境の中で、クロウサギが大切に命をつないできた様子がうかがえる。子育てする姿を伝えて、保護につなげたい」と話した。