マングース捕獲わな撤去完了 放された地で最後の作業 奄美大島
2025年02月09日

関係者が見守る中、最後のわなを撤去する環境省国立公園保護管理企画官の阿部愼太郎さん(右)=7日、奄美市名瀬
環境省奄美群島国立公園管理事務所は7日、奄美市名瀬のあかさき公園近くの山中で、特定外来生物フイリマングースの捕獲用に設置していた筒わなの撤去作業を完了した。同省職員や駆除の中心的な役割を担った奄美マングースバスターズ(AMB)のメンバーら9人が参加。ピーク時には島内に約3万5000個が設置されたわなは、奄美大島でマングースが最初に放されたとされる地で最後の1個が回収された。
同省などによると、奄美大島のマングースは1979年ごろに沖縄から持ち込まれて定着。在来生物を捕食し、島の生態系に深刻な被害を及ぼした。同省では2000年から本格的な駆除事業を展開。05年にはAMBが発足し、わなによる捕獲や探索犬、毒餌も用いて段階的に駆除を進めた。18年4月を最後に捕獲数ゼロが続いており、24年9月に根絶が宣言された。捕獲総数は約3万2000匹。
わなの撤去作業は最後の1匹の捕獲以降、監視も続けながら少しずつ始め、23年度末時点の設置数は1万8259個。24年度当初の点検作業ですべてのわなを非稼働状態にし、AMBによる撤去作業が進んでいた。
7日は2班に分かれて、「N(名瀬)028」と呼ばれる約1・5キロのルート上に残っていたわな32個の回収や、木に巻き付けられ道の目印となる標識テープを取り除く作業を行った。最後のわなは2班が合流後、同省国立公園保護管理企画官の阿部愼太郎さん(60)が撤去した。

阿部さんと共に最後のわなの撤去作業を行った奄美マングースバスターズのメンバーら=7日、奄美市名瀬
AMBの園山大助さん(57)は「最初に放された地で終わらせたいという思いがあった。ほっとしている。人が持ち込んだ結果であり、これを教訓にしなければならない」。同省から防除事業の委託を受ける一般財団法人自然環境研究センター奄美大島事務所長の松田維(たもつ)さん(55)は「みんなが力を合わせて成し遂げたこと。若い人たちに伝えていかねばならない」と話した。
阿部さんは「マングース導入から駆除の過程で、マングースが食べてきた命、事業により駆除されたマングースの命、混獲された(他の生き物の)命など数えきれない命を奪ってきたことを忘れてはいけない」と訴えた。
同省では根絶後のマングースの侵入監視を継続するとともに、発見時の初動対応策をまとめた計画を策定。引き続きマングースや、シロアゴガエルなどの外来生物を発見した場合は電話0997(55)8620奄美野生生物保護センターに連絡するよう呼び掛けている。