「地元枠」利用率7割超 三太郎線車両規制で再実験結果 奄美市住用町

2023年02月05日

世界自然遺産

地元枠を利用した住民に聞き取り調査を行う関係者=2022年12月28日、奄美市住用町

環境省は4日までに、奄美市住用町の市道三太郎線周辺で導入した夜間の車両規制に、繁忙期向けの新たなルール案を試行した年末年始の実証実験の結果(速報)をまとめた。実験は昨年9月に続いて2回目。住用町民限定で設けた1日1組の「地元枠」の利用は、14日間で10件と利用率が7割を超え、9日間で1件のみと同1割程度だった前回から大幅に増えた。

 

三太郎線周辺はアマミノクロウサギなど希少な生き物が多く、近年、夜間に野生生物を観察するナイトツアーが増加。車両規制は野生生物のロードキル(交通事故死)や、車の追い越しをめぐるトラブルなどの防止を目的に、2021年10月に予約制や車両台数制限などが導入された。

 

新ルール案は、地元住民らの要望を受けて、利用が集中する年末年始や大型連休、お盆などの繁忙期に導入を検討している。三太郎線の東西の入り口からそれぞれ30分に1台としている現行の車両台数を、1グループ2台まで同時に通行可能とし、1日1組の地元枠を設ける。9月の実験は台風の影響で利用者が少なかった。

 

再実験は12月27日から1月9日に実施。2台同時利用は3件で、前回の11件より少なかった。14日間の総利用台数は179台。1月1日と7日がそれぞれ18台で最も利用が多く、次いで8日の17台。予約をせずに通行したルール違反の車両は計21台で全体の11・7%。1日が6台で最も多く、その日の33・3%を占めた。

 

本年度内に住民向けの報告会を開き、官民の関係者でつくる三太郎線周辺の夜間利用適正化連絡会議で新ルールを導入するかどうかを協議する。

 

環境省奄美群島国立公園管理事務所の山根篤大国立公園保護管理企画官は地元枠について、「地元住民の需要があることが確認できた。利用がない枠の扱いをどうするかが今後の課題」と述べ、「住民の意見や利用者のアンケート結果を踏まえ、関係者と議論して(導入の是非を)決めたい」と方針を示した。