世界遺産の責任と義務学ぶ 武蔵野奄美フォーラム
2020年10月30日
世界自然遺産
奄美の世界自然遺産登録をテーマにした第34回武蔵野奄美フォーラム(叶芳和会長)が25日、東京・小金井商工会館で開催された。元環境省自然環境局長でNPO法人日本国際湿地保全連合会長の星野一昭さんが講師を務め、奄美の世界自然遺産に向けたこれまでの取り組みなどについて解説。会員らは「貴重な生態系を次世代につなげていく」という世界遺産の意義と、登録後の責任と義務についても学んだ。
武蔵野奄美フォーラムは、会員の自己啓発と親睦を目的に、さまざまな分野で活躍してきた奄美にゆかりのある人たちを講師に招き年2回開催している。今回は約40人が参加した。
講師に招かれた星野さんは1997年から3年間、鹿児島県の自然保護担当課長を務め、屋久島の環境保全や世界自然遺産に関するアジアサミットの開催に携わった。2015年から鹿児島大学の特任教授も務めている。
星野さんは奄美の世界自然遺産登録について「マングース駆除やノネコ対策では大きな成果を上げているが、希少な動植物の盗掘や密猟が後を絶たない」と課題を指摘。さらに登録実現後についても「国際機関との約束(条約)に伴う責任と義務が発生する。世界でも貴重な奄美の生態系を守り、次世代につなげる努力が求められることを忘れてはならない」などと述べた。
参加者からは「世界自然遺産登録が観光への起爆剤になるだろうと単純に考えていたが、登録後に増加するであろう観光客と自然保護の両立に大きな課題を感じた」「生活と密接しながら自然が守られてきた奄美の島々。祖先から続く流れを守らなくてはならない。外来種による脅威も学べ、有意義だった」などの感想が寄せられた。