環境省が湯湾岳に展望台整備へ
2019年08月17日
世界自然遺産
環境省は奄美最高峰・湯湾岳(694メートル)の山頂近くにある大和村名音の広場に、一帯に広がる照葉樹の森を見渡す展望台を整備する計画を進めている。老朽化によって撤去された旧展望台跡に再整備する。2019年度は基本設計に着手し、21年度の完成を目指す。奄美群島国立公園管理事務所は「奄美を代表する自然を感じられる場所になる」としている。
大和村企画観光課によると、旧展望台は島内の建設業者が村有地に整備した。高さ3~4メートルの木造で、木製のはしごを備えていた。老朽化が進んだことで、13年1月ごろに撤去されたという。
村は15年11月、専門家や自然保護関係者、村職員らで構成する「環境に配慮した公園等整備検討委員会」を設置し、展望台の再整備の是非や、環境負荷の少ない工法などについて協議した。
環境省は村側の要望を受けて、検討委で上がった意見を踏まえて展望台を再整備する方針を決め、18年度に策定した奄美群島国立公園直轄整備に係る地域整備計画に盛り込んだ。
湯湾岳一帯は常緑照葉樹の森に希少な動植物が分布する奄美群島国立公園の特別保護地区。来年夏の登録を見込む奄美・沖縄の世界自然遺産の推薦区域に含まれる。
同省は専門家の助言を受けて、動植物に影響しないように工法に配慮するとともに、展望台を整備する広場から山頂に続く登山道の利用規制についても検討を進める。
千葉康人世界自然遺産調整専門官は「湯湾岳は世界遺産の核心地域。保護と利用を同時に実行することが重要。村と相談しながら調整したい」と述べた。