金作原利用ルールの緩和協議 駐車時間の延長を承認 奄美大島利用適正化連絡会議
2025年02月18日
世界自然遺産

金作原利用ルールの緩和などについて協議した奄美大島利用適正化連絡会議=17日、奄美市名瀬
2024年度第3回奄美大島利用適正化連絡会議の会合が17日、奄美市役所であった。認定ガイドの同行や車両台数制限などを設けた試行ルールを19年2月から導入している金作原国有林(同市名瀬)について、住民の自然利用を配慮し、案内役として同行者を認定ガイドに限定した現行ルールの緩和案を協議。6月1日から、認定ガイド車両の1回あたり駐車時間を従来の2時間以下から3時間半以下とするルール変更を承認した。
同会議は、奄美の世界自然遺産登録に伴う観光需要の増加を見据え、金作原を主とする対象地域の適正利用促進を目的に16年度から実施。環境省や林野庁、県、奄美市、自然保護団体、観光団体などで構成され、この日は関係者35人が出席した。
昨年11月の第2回会合で、安全面や道路交通法上の課題解消のために認定ガイド車両の駐車位置を現在の金作原ゲート前から、林道知名瀬線と市道奄美中央線が合流する三差路へ変更することを合意。これに伴い、駐車位置からゲートまでの往復にかかる移動時間が長くなることから、駐車時間を90分間延長した。
金作原の利用ルールでは、自然環境への負荷低減や盗掘・盗採の防止などを目的に、認定ガイド同行による一般客の利用調整を行っている。その一方、地域関係者からは「島民が行きづらい」「地域向けの環境教育活動が実施しにくい」などの意見が上がっており、奄美の自然を考える会(森山力藏会長)は昨年10月、同会議に対し、自然保護・環境教育に実績のある団体へのガイド同伴ルールの緩和や、地元住民による自然利用への配慮などを求めた要望書を提出した。
住民の自然利用や考える会の要望を受け、同会議事務局の県自然保護課は、金作原で認定ガイドが実施するボランティアツアーや学校主催の環境教育の実施などこれまでの対応状況を説明。▽ボランティアツアーの回数を増やす▽認定ガイドの同行を必要としない散策方法▽同会に所属する自然観察指導員を認定ガイドと同等の扱いとする―などについては検討が必要とした。
出席者からは「住民がお金を払わないと利用できない状況はおかしい」「観光客と島民は分けて利用を考えるべき」「金作原への利用を分散させ負荷を減らすため、別のルートを案内できないか」などの意見があった。
今年度の同連絡会議は全3回で会合を終了。25年度は春から夏ごろに第1回会合を開く予定。