金作原国有林きょうから利用規制試行
2019年02月27日
世界自然遺産
2020年を見込む奄美・沖縄の世界自然遺産登録を見据えて、遺産候補地となっている奄美市名瀬の金作原国有林で27日、関係機関による利用規制の試行が始まる。観光客らに認定ガイドの同行を求め、ガイドの車両台数や利用人数に上限を設ける自主ルールを導入する。過剰利用を抑えて、環境保全と質の高い自然体験の両立を目指す。
金作原一帯は天然の亜熱帯照葉樹の森に多様な動植物が生息・生育している。主な散策コースとなっている国有林内の金作原林道は名瀬市街地からも近く、奄美大島を代表する自然観察スポットとして知られ、観光客は年々増加している。
環境負荷の軽減や混雑の緩和などを目的に、国、県、奄美市、民間団体などの関係機関は17年2月、奄美大島利用適正化連絡会議を設置し、利用ルールの導入に向けた検討を重ねた。
18年2月に金作原周辺で車両規制などを伴う約1週間の実証実験を実施。同年夏ごろに利用ルールの試行開始を計画していたが、世界自然遺産登録の延期を受けて先送りとなっていた。同年12月の会合で自主ルールの試行開始を決めた。
自主ルールでは、利用者に奄美群島エコツーリズム推進協議会の認定ガイドの同行を求める。同時間帯に利用できるガイド車両は8台以下、団体ツアーの貸し切りバスは2台以下に制限し、利用時間は120分以内、ガイド1人当たりの案内人数は15人以下とした。ガイド、バス事業者など関係者間でウェブ上の予約システムを使って利用を調整する。
ガイドの同行については、団体ツアーの貸し切りバスは移行期間を経て10月から適用する。試行開始に伴い、バスには金作原林道入り口から約1・5キロの主要ルート上の三差路でガイド車両への乗り換えを推奨する。
ルールの導入によって主要ルートの混雑は緩和されるため、一般車両の通行規制は行わない。今のところルールに法的拘束力はない。
観光関連施設などでチラシを配布し、ルールの内容や利用できる認定ガイドを周知する。詳しくは県、奄美市のホームページなどで紹介している。