10月5~12日、IUCN再調査へ
2019年09月07日
世界自然遺産
環境省は6日、来年夏の世界自然遺産登録を目指す「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島(いりおもてじま)」について、10月5~12日に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)の現地調査が行われると発表した。IUCNの正式な調査は2017年に続き2回目。推薦区域の再編や環境保全策の強化など、IUCNが前回指摘した課題への対応が鍵になる。
具体的な日程や調査員などについては調整の上、9月下旬ごろに発表される。現地では前回と同じく、国、県、地元市町村の担当者と有識者らが説明に当たる。同省自然環境計画課は「指摘を受けた境界線の修正などについて、対応状況をしっかり説明する」としている。
奄美・沖縄は、広大な亜熱帯常緑広葉樹林にアマミノクロウサギやヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコなど多くの希少種や固有種が生息している。
政府は17年2月にユネスコへ推薦。IUCNが現地調査後の18年5月に「登録延期」を勧告したため、いったん推薦は取り下げたが、今年2月に来年夏の自然遺産候補として再推薦した。
再推薦では、IUCNの指摘に沿って推薦内容を変更。新たに沖縄島北部の米軍北部訓練場返還地を編入し、4地域で24区域に細かく分断されていた候補地を5区域にまとめた。面積は前回から約5千㌶増の計4万2698㌶。遺産の価値を示す評価基準(クライテリア)は「生態系」を見送り、「生物多様性」に絞った。
IUCNはほかに、外来種対策の推進や観光管理の仕組みづくり、絶滅危惧種などの総合的なモニタリングシステムの構築などを課題に挙げた。
再調査の結果を踏まえて、来年5月ごろに評価報告書がユネスコ世界遺産委員会に提出され、夏ごろに中国で開かれる同委員会で登録の可否が決まる見通し。
三反園訓県知事 国際自然保護連合(IUCN)による奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界自然遺産登録に向けた現地調査決定を受け、三反園訓県知事は6日、コメントを出した。内容は次の通り。
「IUCNの現地調査については、その結果が世界遺産委員会への報告にとって極めて重要なものと認識しており、国など関係機関との連携をさらに密にしながら適切に対応するなど、来年夏の奄美の世界自然遺産登録に向け、引き続き全力で取り組んでいく」